主人から譲り受けた時計は、ロレックスの「オイスターデイト」。1960年代ものなのだそう。私には少し大きいと思っていましたが、アイボリーのフェイスとブラウンのベルトが、私のイエローベースの肌に上手く馴染んでくれたよう。

高校生の頃、母から貰った時計をとてもとても気に入って、入浴中以外はずっと着けていたのを覚えています。当時の私にとって、時間を確認することはなんとなく大人びた仕草に感じられ、ことあるごとに時計を気にしていました。早く大人になりたくて背伸びをする手段のひとつが、時計を見ることだったのだと思います。

その後、ヘア&メイクを目指してアシスタントをしていた時も、時計は肌身離さず着けていましたが、師匠のもとを独立したタイミングで時計を手放す努力を始めました。私はもともとせっかちに見られがちなうえ、仕事中も時計をチェックする癖が。担当させていただくモデルさん達にリラックスしてもらうためには、ない方がいいだろうと考えたのです。また、メイク前には必ずマッサージをするのですが、時計で顔を傷つけてしまったら大変。さらに、私は両利きなので、ヘアメイク中も両手をまんべんなく使います。時計を着けていた頃は、気づくとヘアースプレーがこびりついてしまっていたことも。そんな仕事上の理由が重なり、徐々に時計をしなくなっていきました。

それが、4年前に主人と出会い、メンズファッションの流儀のようなものを感じるように。毎朝、主人がロレックスの「オイスターデイト」を巻く姿がなんとも魅力的に見えたので、こっそり真似をして夫の時計を巻いてみると、とてもしっくりくる感覚が。そこから、休日に借りるようになり、共有状態になり、今ではすっかり譲り受けてしまいました(笑)。

この先、自分で時計を購入するとしたら・・・、なんとなく、その年齢は“42歳”ではないかと思っています。きっとその頃には息子も成長し、習いごとや幼稚園のお迎えなどで頻繁に時計を見るようになっているかも。私自身も、ひとつの区切りを迎えるような気がしていて、そんなタイミングで自分らしさを表現できる時計を手に入れられたら、嬉しいですね。


CREDIT:
ニット/スローン
ジャケット/レフティ
ピアス/マリアブラック
リング/ハム

PROFILE 小澤 実和さん

へア&メイクアップアーティスト。女性誌を中心に広告など多方面で活躍中。ファッションも含めたトータルバランスで考えるメイクアップに定評があり、女優やタレントからの指名も多数。最先端のメイクトレンドやアイテム、スキンケア事情にも精通。カウンセリングやメイクレッスンを行うなど、活躍の場を広げている。

構成・文/村上治子