米倉涼子さんが、過去に観た映画を紹介するアーカイブ コレクション。
そのときに観た映画から、米倉さんの生き方、価値観が垣間見えます。

The Weinstein Company / Photofest / ゼータイメージ

『王子と踊り子』の撮影中のエピソードを中心に、助監督との秘密の恋を描いた『マリリン7日間の恋』。遅刻やNGを繰り返してどんどん精神的に不安定になっていく姿を見ながら感じたのは、この過保護なザ・ハリウッド的環境が彼女をそうさせているんじゃないかな、ということ。

生まれたばかりの鹿と同じで、人間もひとりにしたら立ち上がるでしょう? そう思ったのと同時に、周囲の人たちが思わず守ってあげたくなる魅力を持っている女性だなとも感じました。同性の私から見ても、歩き方や仕草がすごくかわいいの!

セックス・シンボルというイメージが強い女優だけれど、この映画のなかの彼女はちょっと違う。7日間だけの恋をした助監督が見た〝僕だけのマリリン〞が、本当の姿に近かったのかもしれないですね。

この助監督はマリリンの話を誠実によく聞いて、先回りしていろいろと考えてくれる人。彼の姿を見ながら、気がきかないADにこの映画をぜひ観てほしい! と思ってしまいました(笑)。実はマリリンの映画をじっくり観たことがないので、これを機会に観てみようと思います。

『マリリン 7日間の恋』
『王子と踊り子』撮影のためにイギリスにやって来たマリリン・モンロー。けれども監督はマリリンの演技を受け入れず、彼女は現場で孤立。見張り役となった助監督には心を開いていく。回顧録をもとにした作品で、ミッシェル・ウィリアムズがマリリンを演じきった。

取材・文/細谷美香
このページは、女性誌「FRaU」(2012年)に掲載された
「エンタメPR会社 オフィス・ヨネクラ」を加筆、修正したものです。