モノクロームに彩られた被写体たちは強く、儚く、美しい・・・彼の写真を初めて観たとき、一瞬にしてその世界に引き込まれました。

写真家 ピーター・リンドバーグ(Peter Lindbergh)氏は80年代のタフな女性像をフィルムに焼き付け、90年代にはスーパーモデルを起用し火付け役となった写真家で、VOGUEやHaper's BAZAARなどでの活躍もご存知の方も多いかと思います。ファッション誌がスーパーモデルで彩られ一番華々しい時代、私も彼の大ファンの一人でした。

銀座蔦屋で開催されたサイン会。長蛇の列で新刊も即完売。

そんなピーター氏が17年ぶりの来日。新刊「Shadow on the wall」の発売記念のサイン会が開催されました。

実はお会いするのは今回で2度目。dna model managementというエージェントでの仕事に携わっていた際にNYを訪れ、ピーター氏とお会いしたのがちょうど10年前でした。

10年前、ニューヨークにて。ピーター氏が家族と友人たちを呼んでのディナーパーティーの席で。大ファンなだけに、ちと興奮気味(笑)。

ジェントルで気さくなお人柄はあの頃のまま。何時間にも及ぶサイン会でしたが、最後までファンに対して丁寧に応じていました。

今回の新刊「Shadow on the wall」はイタリアのタイヤメイカー「ピレリ(PIRELLI)」のカレンダーのために撮影した14人の有名女優たちを被写体に、未発表作品が掲載されています。

作品の多くはほとんどの被写体がノーメイクで無修正。考え方によっては裸になることより勇気ある決意が必要な気もします。

新刊「Shadow on the wall」。メディアが発達して写真集や雑誌が売れないと言われる昨今。でもプリントでしか味わえない、伝えられない世界があることを私たちは忘れてはならないように思います。
ピーター氏の趣のあるサイン。長蛇の列にも関わらずメッセージは人それぞれ。彼のホスピタリティーを感じさせるサイン会でした。

彼の被写体のほとんどがモデルや女優。私たちがいつも目にしている彼女たちは、何かを演じたり偶像化された美しさです。もちろんそれはそれで素晴らしい作品。

しかし、彼の作品の素晴らしさはその人の本質を捉えるところにあり、作られた完璧な美しさより本来持っているパーソナリティーをリアルに美しく捉えているところにあります。

ロビン・ライトが彼との撮影に際し「ピーターと仕事をすることは自分自身の武装解除することと同じ。気づかないうちにそのベールをそっと取り除いてくれるの。」という言葉がその全てを物語っています。

ニコール・キッドマン
シャーロット・ランブリング
ジュリアン・ムーア
ロビン・ライト

カメラ機能も進化し、素人でも携帯のアプリで簡単に修正できる時代。アップされる顔がどれも同じような顔に見えたり、あまりにも盛られて誰かわからない・・・ということもアリアリの昨今(笑)、本来の人間の美しさや価値はどこにあるのか・・・彼の写真集を改めて拝見し、思うところはたくさんです。

ありのままの自分を見せるということは案外難しいことなのかもしれません。