人に左右されていたら、自分の道は貫けない


神田 よく森田さんは「周りを気にせずに自分自身を大切にすることも大事」という話をしてくださいます。日本人は気を使いすぎてしまうところがあり、ストレスや心の病につながることも。フィトテラピーを通して、フランスのような「自分らしい生き方のすすめ」のような部分も、すごく大切なことだと思います。

森田 まさにそれがフランスで一番学んだことかもしれません。フランスでは「敦子は何故そんなに人の意見に合わせるんだ」とか「あなたにはアイデンティティはないのか」と言われていました。多国籍国家だからというのもあるのかもしれませんが、彼らは本当に自分の思いを大切にするし、それをきちんと人に伝えるんですよね。人の言うことや、人がどう感じるかに気を配ることも大切だけれど「私はこれが好き」「これがやりたい」と自分を主張することのほうがもっと大事にしないといけないということに気づかされました。日本人はつい相手に合わせがちな文化の中で育っています、それだと自然と自らの個性を隠して、知らないうちにストレスがたまってしまいます。私自身も、些細な評判を気にして悩んでいたら、せっかく何もかも捨てて歩み始めた私が行く道を真っ直ぐ進んではこれなかったと思います。人のことを気にしすぎていたら、なんのために生まれて、今を一生懸命生きているのか、という生きる指針がブレてしまう。ブレるくらいなら、誰かに嫌われたとしても、自分を突き通したほうが楽しいじゃない!? 帰国した私は、そう思えるようになっていました。

神田 同時に日本人の私たちにとっては、それがとても難しいことのようにも思います。なかなか人の目から自分を解放してあげられないのでは、と。

森田 日本には自分を抑えてでも、相手に合わせることを美徳とする文化がありますからね。でも、その一方で、自分が本音を伝えない限り、相手から本音を語ってくれることもありません。難しくてもその姿勢を突き通し続けて、それでも良いと言ってくれるような人が自分のまわりにいればそれだけで幸せを感じられるのではないでしょうか。私が幸せだったら、それを見て笑顔になってくれるような相手とともに、大切な時間を過ごすことを優先しても良いのでは、と思います。本音の自分に戻れる場所さえあれば、大丈夫。私の場合は、限られた大親友と呼べる友人たち、そして旦那さんがそんな場所です。彼らには自分の良いところも悪いところも徹底して知ってもらっていますし、彼らの悪いところも含めて好きだよと伝えています。そこに強い絆があれば、その他の友人、知人には結果としてどう思われるようなことがあっても、どうってことないんですよ。仕事に関しても同じようなスタンスで、何か違和感がある人とはどんなにいい仕事だったとしても、付き合わないことにしています。経験上、そういうときは後で何かが起こる可能性が高いから。そういったインスピレーションも、ヨーロッパの人たちに教えてもらったことのひとつです。でもその代わり、もちろん嫌われることもありますけどね。

神田 私も森田さんからそのお話を聞いてから、無理をするお付き合いはやめました。慣れるまでは少し時間がかかりますが、結果的にはすごく楽になった。気持ちが落ち着いて、自分の生活も整い、自分のために使える余白の時間が増えたのもよかったです。

森田 そうなの、すごく楽になりますよね。私の場合は人の言葉や思いに振り回されることなく、自分自身や目指す道を大切にする感覚を身につけたら、気持ちだけでなく、体そのものも楽になりました。症状も出なくなり、頭痛もなく、朝も起きられるように。なんとなく幸せな気持ちを日々抱けるようになったのは、すごく大きい変化でした。
 

愛用品も植物の力を詰め込んだオーガニックコスメ

(すべて私物・左から)「マルティナ ネロリクリーム」αリノレン酸を含むローズヒップ油が含まれているクリームで肌馴染みが抜群。香りも好きで、日中もたまに塗り直しています。 「ネロリラ ボタニカ インテンシブビューティーセラム」ネロリの香りがなんともいえない、深いリラックス効果を与えてくれます。
「メルヴィータ ロルロゼ ブリリアント ボディオイル」肌を引き締めてくれるピンクペッパーが配合されたオイル。疲れた日、お風呂上りに使っています。オイル自体がさらっとしていて使いやすく、脚のむくみが気になるときはこれでマッサージしています。次の日は足がすっきりするので、便利です。


目指すのは、女性の健康と生き方の改革

神田 自分を大切にする感覚は、自分に合わせた処方をするというフィトテラピーの根源的な発想にもつながっているように思います。敦子さんとしては今後、フィトテラピーの普及を通して、女性の生き方そのものをサポートしていきたいという思いもあるのでしょうか。

森田 この思想を広げていってくれる人を育てることと、その人たちが活躍できる環境を整えていくというのが今後の目標のひとつです。女性たちが自立して生きていけるだけの知識と、商品がまわる仕組みをつくることで、子育てしながらや、会社に勤めなくても自分の収入と健康を守れるようにしていってあげられたらいいですね。そういう人たちの創出こそ、女性の健康と生き方の改革につながると思っています。そろそろスピードアップしていかないと、みんな健康を保てなくなっているし、みんな真面目なぶんストレスが溜まっているし……。私は医療の分野には踏み込めないから、徹底的に未病の予防に呼びかけていかないと。それは睡眠をテーマにしている「ナナデェコール」も同じよね。

神田 はい、だから森田さんの言うことはすごくわかります。悪くなる前に予防、改善する方法は思うよりたくさんあるんですよね。それをもっと伝えていきたいと常々感じています。

森田 そのためには自社だけでやっていても間に合わないな、と。伝えられる人を増やすのもそうだし、思いを同じくする人たちの連携も必要だと感じています。

神田 私たちは「ナナデェコール」でパジャマを通して睡眠の大切さを伝えています。そこには眠ることの先にある、心地よいパジャマを着て深く眠るだけで、日々の多くのストレスを解消してくれる、という意味がこめられています。眠りが心のケアにつながっている、頑張りすぎないで生活を見直してみては? というメッセージです。ちょっとだけ自分の生活のリズムを整えたり、例えばひとつハーブを日々の習慣にプラスするだけで、予防できることがたくさんあります。

森田 その通りです。ハーブは簡単に取り入れられるので、習慣にして欲しい。例えば、心のバランスを崩した時は、メリッサというハーブがおすすめです。「どうにかなるさ!」という明るい気持ちにしてくれる。フランス女性が持ち歩いているハーブのひとつです。眠りが浅い人はバレリアンというハーブ。これは匂いが独特なのですが、しっかりと深い眠りにつかせてくれたり、眠りの質をあげてくれます。風邪の予防など免疫系にはエキナセア。そして、女性ホルモンの調整にはラズベリーリーフやチェストベリーも有効です(詳しくはこちら>>)。こういった自分にあったハーブを常備して、身近に取り入れていくと、自分の体調を自分で保てるようになり、それが安心感につながります。大好きな着心地のパジャマひとつ、ハーブひとつ、自分がこれさえあれば大丈夫というアイテムを持つことは、現代女性にとって必要なこと。さらに、いま注目をされているデリケートゾーンのケアも、日本の女性に知ってもらいたい大切なこと。どれもこれも、フランスで私が救われたフィトテラピーのメソッド。より広く伝えることで、これからもっと日本の女性たちを元気にしていきたいと思っています。

ミモレでの森田さんによるデリケートゾーンの記事はコチラ>>>


対談を終えて……

森田さんと私は「忙しい女性たちを元気にしたい」という同じフィールドで活動をしています。自分が体調を崩し、フランスで元気になって、帰ってきた敦子さん。ご自身の経験をもとに伝えているのは、現代の日本女性にとって、必要不可欠なものばかりです。ハーブやコスメなど、簡単に取り入れられて、どれもお守りのように、自分を守ってくれるものです。ルボアのスクールもクラスが充実しています。まずは簡単なセミナーなど、誰もが気軽に受けられる機会も増えているので、興味がある方は学んでみてください。ぜひ皆さんに正しい知識を持って、自分らしい人生をより楽しんで欲しいと思います。

聞き手:神田恵実nanadecor ディレクター/Juliette主宰 ファッションショーの制作、編集プロダクションを経て大手出版社に勤務。後にJuliette.incを設立しファッションエディターとして、女性誌や書籍の編集、国内外のファッションブランドの広告、カタログやウェブ制作などを手がける。2005年にはオーガニックライフの素晴らしさと必要性を伝えたいと、「nanadecor」をスタート。プロダクト開発のみならず、ワークショップの企画、女性の雇用支援など、衣食住、様々な視点から、オーガニックライフをトータルで啓蒙。現在はオーガニックに関するコンサルティングやディレクション業務、睡眠の重要性を伝える活動、幼児教育に関するアプローチを始める。リマクッキングスクール師範科卒業、睡眠改善インストラクター。AMPPルボアフィトテラピーアドバイザー。近著に『頑張りすぎているからだとこころを休ませる本 ゆるめる自分』がある。
撮影/林洋介 取材・文/神田恵実
 
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