マニッシュな「ロンド ソロ ドゥ カルティエ」は、デニムスタイルにぴったり。大ぶりでも薄いので、軽やかな着け心地。リングもシルバー系で色みを揃え、クラスカジュアルな雰囲気に。

時計はつねに視界に入るものなので、自分が見て楽しめることも大事なセレクトポイント。私の場合は、基本的にボーイズライクが好みで、エレガントななかにも凛とした強さのあるものに魅かれます。ブランドで言うなら、まさにカルティエ。優れたデザイン性と上品さはもちろん、どの時計からも、いかにもフランスのブランドらしい、女性らしさと気高さの共存が感じられます。

なかでも、私がいま最も愛用しているのは、2012年に第2子の出産記念として購入した「ロンド ソロ ドゥ カルティエ」。ちょうど大ぶりの時計が欲しかったところ、生まれたのが男の子だったので、彼が二十歳になったら譲ろうと思い、裏蓋に息子の名前と生年月日を彫ってもらいました。ボーイズサイズですが、SSブレスレットでクォーツなので、軽くて丈夫。お手入れもラクで気兼ねなく使えるため、ほとんど毎日この時計をしているほど気に入っています。

また、思い出深いのは「コレクション プリヴェ カルティエ パリ トノー」。30歳の時に会社を辞め、独立記念旅行で訪れたドバイのカルティエブティックでひと目惚れしてしまったのです。当時(たぶん、“今も”ですね)大富豪が集まるUAE(アラブ首長国連邦)国内のショップには、日本では手に入らなそうなレアなモデルが揃っていました。そのUAEにさえ、たった3本しか入らない希少なモデルと聞き、これは“出会い”なのだろうと。価格的には悩みましたが、ひと晩じっくり考えて決定。知的な華やかさはやはり唯一無二で、どんな場にも、気後れすることなく着けて行くことができます。

カルティエのスペシャルラインとも評される「コレクション プリヴェ カルティエ パリ」のトノー。知的で優雅なデザインは、フォーマルスタイルやジャケットとも好相性です。

私は、実用面からも日々時計が手放せません。どんな時も自分に寄り添ってくれる時計は、人生の節目に購入することが多く、思い出のあるものばかり。だからこそ、今後、ふたりの子どもたちが成長した時には、受け継いでいきたい。これからはきっと、そんなことも考えながら選んでいくと思います。

CREDIT:
(ロンド ソロのカット)
パンツ/イレーヴ
リング/ホアキンベラオ

(コレクション プリヴェ カルティエ パリ トノーのカット)
パンツ/マーガレットハウエル
リング/ジュエリーシュガー

PROFILE 湯澤実和子さん

出版社勤務を経て独立後、フリーのファッションエディター&ライターとして雑誌やカタログ制作等に携わる。現在は子育てに軸を置いたワークライフバランスを実践中。週に2〜3回ホットヨガに通い、心身ともにリフレッシュしているそう。

構成・文/村上治子