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【光野桃 短期連載⑤】
エリザベス女王に学ぶ「ワントーンコーディネイト」

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光野桃さんがミモレに帰ってきました…! 新刊の発売を記念してスタートした短期連載。おしゃれのヒントが詰まった一冊から、ミモレ読者に役立つセレブの着こなしアイデアをピックアップして掲載します。一覧ページはこちらです。ぜひご注目ください!(川良)

 

女王陛下の
ワントーンコーディネイト


 仕事で英国王室の資料にあたっているとき、エリザベス女王の現在の写真をたくさん見た。そして思ったのは、かつてはダイアナ妃、いまはキャサリン妃と、ファッションアイコンを輩出してきた王室だが、昔もいまも美の存在感という点で、エリザベス女王の右に出る者はいないのではないか、ということだ。澄んだ水色のコートと帽子をまとったロンドン土産の人形ですら、その気品に思わず買ってしまったほど。
 九十代に入られた最近の女王のスタイルは、クリアで濁りのない鮮やかな色のコートに、同色の帽子、そして同系色のプリントのワンピース。大人のワントーンコーディネイトである。
 靴とバッグは、ほとんどの場合、どんな色の服装にも黒の五センチヒールのパンプスと黒のバッグを組み合わせている。これが引き締め効果とストイックな印象をもたらしている。もし、服の色に合わせた色の靴を履いたら、やりすぎ感が出てしまうだろう。
 ワントーンコーディネイトの長所は、縦のラインを強調するのでスマートに見えること、パールなどのジュエリーの邪魔をしないこと、そして格調高いこと。女王陛下のセオリーからは、学ぶところが多い。

(光野桃『白いシャツは、白髪になるまで待って』より引用)

 

 

<新刊紹介>
『白いシャツは、白髪になるまで待って』
光野桃 著(幻冬舎)定価1300円(税別)

「60代になって、びっくりするほどおしゃれが自由に、楽しくなった」。そう語る光野桃さんが「年齢を重ねてからの80のおしゃれのヒント」を本にまとめました。それらは「ベージュには黒」「陰影をブルーで着こなす」「毎日デニムとローファーだけで」「あえてノースリーブを着る」「変わりたいとき、メガネを変える」など、実際に毎日の着こなしに役立つものばかり。決して「こうしなくてはならない」というものではなく、「こっちのおしゃれも楽しいですよ~」手招きしてくれているよう。40代の「おしゃれと生き方の
トンネル期」を抜けた先には、こんなに爽やかで自由な未来が広がってくるのかと思える一冊です。


特別寄稿/光野桃 
構成・文/川良咲子(編集部)
写真/アフロ