私の“好き”を集めて作ってもらった究極のドレス。またこれについては機会を見つけてたっぷりお話させてください♪


はじめまして、今日からここ、ミモレで月2回の連載を始めることになりました。(最初の1ヶ月だけ毎週更新予定!)

媒体の一員としてではなく、私個人の視点だけで真正面から服について語らせていただくのは初めてのこと。

錚々たる先輩方の中で少し緊張していますが、よろしくお願いします。

さてさて、今日は自己紹介代わりにタイトルについてお話ししたいなと思っています。

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大人の女性なら、目の前に並ぶ香水をいくつか嗅ぎ比べてみたことがあると思う。
どの香りを連れて帰ろうかと選ぶ貴女は、例えそこに敏腕な店員さんが横にぴったり張り付いて、これが流行りですよ、こちらがお似合いですと言葉巧みに勧めようとも、その宣伝文句ではあまり揺るがない。
だって、嗅いだ瞬間キュンとときめいた自分の気持ちを当然のように優先するのだから。


2年くらい前の夏だっただろうか。
程よくエアコンのきいた快適な部屋で和気あいあいと受けた取材も終盤に差し掛かり、コップに入ったアイスティーをストローでかき回し始めた私は、インタビュアーの方の問いにふと手を止めた。

「自分らしさとかスタイルってどうやって探せばいいんですかね〜?」

そもそも“その人らしさ”なんていうものは他人が評価するもので、好きなものだけ選んでいれば「貴女らしいね」なんていつの間にか言われるようになるものだと気ままに思っていた私は、それに向き合ったことがなかった。
咄嗟に出たのは「メディアやトレンドに振り回されなければ見つかる気がする」という、ファッションメディアの人間らしからぬ言葉だった。

確かに、嗜好が細分化され、ビッグトレンドが終焉を迎えた今、これを着ていれば大丈夫!という分かりやすさはもうない。
世の中にはネットでも手軽に買える“ダサくない”服がたくさん溢れているから、無難に、それなりに、も成り立ちやすい。

だからこそ年々と“その人らしさ”が求められるようになっているのに、正解はあっても、その答えの出し方は書かれていない雑誌をバイブルのように読んできた大人たちは、完全にスタイル迷子。
日本のファッション誌読者の優等生だった人ほど、今着こなしについて真面目に悩み、答えの出ないスパイラルから抜け出せなくなっているのかもしれません。

じゃあ、一体どうしたらいいの?

その答えのヒントにしてもらえそうなのが、このタイトルでもある「好きだけ纏いたい!」。

人まねやトレンド、ブランドネームだけに流されて選んだものは、数年経っただけで、気恥ずかしいものへと変わる。
でも、自分で見つけて、納得して選んだものは、何年だって堂々と着ていられるし、褒められればその服の良さについてだって熱く語れちゃう。

クローゼットに“好き”が増えれば、“自分らしい”装いに迷わず、それが最も似合うものとなり、最も褒められるものにも、気分を上げてくれるものにもなっていく。

そうすれば、トレンドも誰かのスタイルも俯瞰で見られて、心から良いと感じるものだけを取り入れる余裕が持てるようになるんじゃないか、そう思うのです。

この連載では、テクニックの伝授もアイテムのおすすめもしません。
ただ、一個人の好き勝手な趣味嗜好を読むことで「私も同じ!」「いや、私はこんな理由があるから違うの」なんて、自分の”好き”を思い出すきっかけにしてもらえれば嬉しいなと思います。

マニュアルより、トレンドより、まず信じたいのは自分。
もっとシンプルに、感覚的に。
だけど女性として気分のあがるものを。
そう、好きな香水を即断できるあの感覚のように。

さあ、今の貴女は?“好き”を纏っていますか?

私専用のクローゼットルームは好きなものだらけでパンパン。“好き”がまだまとまりきっていないのかもしれません。この連載を始めることでもっとシンプルに、すっきりとさせられるといいのですが…笑