4年に一度開催されている国内最大のお祭り「歌の祭典」のワンシーン。各地域の代表が旗を持って入場の準備。

バルト三国はヨーロッパの一番端っこ、地図を見ると、すぐ隣に控えたロシアの大きさや位置関係が一目瞭然、三国の小ささを確認すると、独立国家として進んでいくには並々ならぬ努力が必要なことが想像できます。
その三国の中でいちばん南に位置するリトアニアの国家としての歴史は、13世紀にまで遡ります。一時はヨーロッパの大国と呼ばれるほどでしたが、長い間ロシア帝国、ポーランド、ソ連に(短い期間だがスウェーデンにも)翻弄されてきた歴史があります。

首都ヴィリニュスの旧市街の眺め。ヨーロッパの中でも旧市街の広さは一番、美しさも格別。世界遺産登録されている。

1991年の2度目の独立から27年を経て、現在の健やかなリトアニアは、この国の人々の心の底から溢れる自由への強い思いと、それを実現する行動力に支えられていると言って良いでしょう。

新市街にある「人間の鎖」のモニュメント。89年、ソ連からの独立を求めた200万人がリトアニアからエストニアまで600kmもの距離で手を繋いだ。

旅する間、小さいけど魅力的なこの国を愛する人々とたくさん話をしましたが、「自由」という言葉の意味を、もう一度考え直すきっかけをもらうようでした。今回から数回に分けて、短い夏の盛り、一番美しい季節のリトアニアで見つけたこと、感じたことを綴っていきます。

リトアニアは清らかな水に恵まれたところ。良質なミネラルウォーターが豊富にあり、ドルスキニンカイなどの保養地でのスパも盛ん。

リトアニアの人々の素晴らしいところをあげるなら、奥ゆかしさ、親切さ、手先の器用さ、そしてユーモアのセンスに溢れていることでしょう。その代表だなと思われるのがこちら。(正統派の手工芸も後でご紹介しますからね、先ずは旅の始まりとして見てやってください)

 

ヴィリニュス駅の構内に今は使われていない古いホームがあり、洒落たバーになっています。そこに彼は佇んでいるのです。リトアニア人アーティスト、Donatas jankauskasの作品「Tony Soprano」です。この可笑しさ、じわじわ来ませんか。2009年に制作されたものなのですが、駅のホームに佇むことになろうとは、思いもよらなかったことでしょう。作品が作られた2009年当初、深刻な経済危機にあったリトアニア、製作費を削減されたため、実際の計画より1.5メートル低くなったそうで。これより大きかったらホームにも立てないのですから、この駅から旅する人々の記憶にとどまることはありませんでしたね。

\リトアニアはこんなところ/

 

人口 281万人
首都 ヴィリニュス
面積 65000㎢
国教 主にカトリック
言語 リトアニア語
通貨 ユーロ(2015年から)

【日本からのアクセス】
直行便はなく、成田・名古屋・関西空港から、ヘルシンキ経由でヴィリニュスまで毎日就航。乗り継ぎ含め12~13時間程度。

 

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在本彌生

1970年生まれ。東京都出身。アリタリア航空の客室乗務員として勤務しているときに写真と出会い、2006年に独立。多数の雑誌やカタログ、CDジャケットなどの撮影をおこなう。写真集に『MAGICAL TRANSIT DAYS』(アートビートパブリッシャーズ)、『わたしの獣たち』(青幻舎)、『熊を彫る人』(小学館)がある。