劇団☆新感線×宮藤官九郎。それだけでもワクワクするのに、さらに会場が360°回転する劇場 IHIステージアラウンド! 

メタルマクベス』の初演は青山円形劇場(閉館)だったはずなので、「円形の舞台が向いている演目なのだろうか?」と思わなくもなかった12年ぶりの再演。まずはステージアラウンドという施設に興味津々の私は、いざ豊洲へ。

周囲を取り囲む360度全てに展開されるステージ、その中心に巨大な円形の観客席を配置。巨大なお盆に乗った観客席、それ自身が回転しながら、舞台、映像、音楽、照明、全てが画期的な方法で融合することで、これまでにない感覚を体験させてくれるアジア初の没入型エンターテインメント施設です(HPより)。

湾岸の夕景を背負うステージアラウンド。ステージの仕組みが気になる私の足取りはどんどん早歩きに(笑)!


この日同行の友人は既にステージアラウンドを劇団☆新感線『髑髏城の七人』で体感済み。「どんな風に観客席は動くの? 前後? 左右? 斜めになっている角度は変わるの? ベルトはするの?」と前のめりな私に、「遊園地のアトラクションとは違うんだからさ(苦笑)」とポツリ。「あ、そうなんだ」と出鼻をくじかれる私。安全面をよく考えれば、1300人を一度に乗せられる円盤形アトラクションなんて、遊園地にだってないですよね……(苦笑)。

「メタルにはマクベスがよく似合う」という演出家のいのうえひでのり氏の着想から生まれた『メタルマクベス』。シェイクスピアの『マクベス』をベースに、廃退した近未来と空前のバンドブームにわいた1980年代の日本を二重構造に置き換えるというクドカンの大胆な脚色が素晴らしい(シェイクスピア作品をそれまで一冊も読んだことがないという逸話も、いかにもクドカンらしい笑)。さらに、キャストがDisc1、2、3と変わるのですが、私が観たDisc1は21年ぶりに劇団☆新感線舞台に返ってきた橋本さとしさん主演ver.。長年の新感線ファンの方々の「おかえりなさい」という温かい雰囲気が印象的で、元劇団四季の当代きってのミュージカル女優・濱田めぐみさんとの掛け合いは極上! 観賞後は、大好きな映画『マッドマックス』フレイバーに、クドカンの脱力系小ネタをまぶしつつ、しっかりと骨太のシェイクスピアしている……という絶妙なるバランスを保ちながら大団円を迎えるという奇跡を目撃したと興奮で胸がいっぱいに。
 

観客席がまわる特性を生かし、場面転換が数多くなされ(ステージ上のセットを転換させることなく客席をまわすことで大胆にセットが変えられるわけです!)、観客席と映像を同時に動かすことで実際にバイクを走らせても疾走感が半端なく、さらにステージ上ではメタルが生演奏されており、ステージを取り囲む映像の迫力は通常の演劇とは桁違い。そして、劇場を取り囲むように舞台がつくられているコチラは、何より演者の方々の舞台裏での移動走行距離もおそらく桁違いでしょう(笑)!

……舞台上で、リアルな人間がリアルタイムに役を演じるということを「演劇」と定義するなら、そのエンターテインメントのひとつの最終到達点を観た気がしました。

次なる段階はVRとリアルの融合しかないかな???

ONWARD presents 新感線☆RS『メタルマクベス』

「はからずしもジェネレーションに別れたキャスティングになったので、それぞれの特徴は生かすつもりです」とは、演出のいのうえ氏の弁。そのディテールの違いをチェックするためにも、Disc2と3も俄然観劇したくなりました!

作:宮藤官九郎 演出:いのうえひでのり 音楽:岡崎 司 振付&ステージング:川崎悦子(原作:ウィリアム・シェイクスピア「マクベス」松岡和子翻訳版より)

《disc1》[公演期間]2018年7月23日(月)~8月31日(金)
disc1公演公式サイト
[cast]橋本さとし 濱田めぐみ / 松下優也 山口馬木也 / 西岡德馬 ほか

《disc2》[公演期間]2018年9月中旬開幕予定
disc2公演公式サイト
[cast]尾上松也 大原櫻子 / 原 嘉孝(ジャニーズJr.) 浅利陽介 / 岡本健一 ほか

《disc3》[公演期間]2018年11月初旬開幕予定
disc3公演公式サイト
[cast]浦井健治 長澤まさみ / 高杉真宙 柳下 大 / ラサール石井 ほか

 

今日のお品書き
今日からスタイリスト望月さんによる、短期集中「Tシャツとデニム」の着こなし連載がスタート。大好きなのに遠ざかっていた方、スタイルをアップデートしたい方、ぜひ参考にしてください!