お着物好きの憧れといえば、「冬の結城紬」「夏の宮古上布」でしょうか……。どちらも反物だけで、軽~く100万円超えするので、私には手が出ませんが、茨城県にある『つむぎの館』で「絞り染めの1日体験」ができると聞き、愛車をかっ飛ばして参加してきました!

結城紬メーカー、奥順株式会社さんが運営されている『つむぎの館』では、4月~6月までの期間限定で「箱絞り 浴衣染め体験」を開催中。手ぶらでOK。参加費は、反物と道具、昼のお弁当込みで20,000円ぽっきりです。
※プレタサイズの浴衣に仕立ててもらうには、別途9,000円が必要です。

結城紬のはたおり体験などもできて、着物や帯はもちろん雑貨も購入できる「つむぎの館」。7月までは、マングローブで染める日傘作り体験も開催中です。

何度も予約しては、こちらの仕事の都合でリスケして、ようやく参加できたこの日は平日。参加者は合計2名と超のどかなムード。結城で代々染色業を営んでいる稲葉藤五郎先生が、絞り方や染色について、つきっきりで指導してくれました♪

絞り染め=Tie–dyeing。布を絞ることで、染まらないところと染めるところができて模様ができます。稲葉先生の頭の中では、“どう畳んで、どこを絞って、どう染めたら、どんな柄が出るか”がクリアなようですが、こちらは初めて尽くしでちんぷんかんぷん。とにかく用意された5色の中から、私はくるみ(ベージュ)とざくろ(イエロー)の2色だけを使って、白場をいかしたシックな仕上がりを目指すことに。

10:00に集合して、16:30終了のフルコース。流れはざっとこんこんな感じでした。

① 麻のさらっとした白生地をいわれた通りに折り畳む。しかもきっちり、かなり丁寧に。ここポイントです。
②要所要所をゴムでぎゅうぎゅうにしばる。ここは男のチカラが必要なので、稲葉先生が担当。

白生地をきっちりと折り畳んで、太いゴムで巻きます。ゴムで巻いたところが染まらず白く残る部分に。チカラがいる重要な作業なので、ここは先生が巻いてくれます。前日は6名が参加したらしく(6人分をぎゅうぎゅうしないといけないので)、先生はややお疲れ気味のよう。

③布をお湯にひたして、もんでもんで柔らかくして、さらに薬品を入れて染めやすくする下準備。
④ラップでくるんでレンコン状にする。ラップが袋になって、染料が溜まり、素人でも成功しやすくなるのだと最後にわかりました。

幾何は苦手でした・・・・・・・。なので、説明されてもちんぷんかんぷん。
とにかく折り方と結び方で、どこに何色をおくとどんな模様になるか、先生はお見通し。私は何度説明されても呆然。

⑤ラップに切れ目を入れて、そこに染料を何度も注いで色づけする。
⑥ざぶっと水で洗ってから、ラップとゴムを取り除く。ゴムがはじけて染料が飛んでくるのがちょっと怖い。

上から染料を注ぎ、下でボールに染料を受ける、を繰り返します。中腰で重たいボールを持って、染料を注ぎ続ける、洗い続ける作業が多くて、翌日は全身が筋肉痛。
それにしても、茶色い変な海洋動物みたい。「茶色いーーーー。白いところが全然ないーーーー」と叫ぶ私を「ふっ」と鼻で笑う先生。

⑦広げながら、水でひたすら洗います。たらいで洗い物をするなんて、おばあちゃんち以来、数十年ぶりかも!
⑧広げて干して、わぁぁい完成です!

広げてみると染まっていない白地がいっぱい出てきて、まったく違う印象に!!! そして、驚く私たちを横目で見ながら、超ドヤ顔の先生……。
いまは自治会長を務める先生ですが、昔は矢沢栄吉さんがお好きだったようです。なんかちょっとわかるかも(ごめんなさい!)。

 お天気もよくて、じっとしていても汗ばむくらいの陽気。楽しかったけれど、かなり重労働。でもでも、染め終わって12.5メートルの布を広げて干した風景には、ちょっと感動♥ 稲葉先生いわく「農民芸術ならではの、作為のない、味のある染め上がり」に満足です。ってか、そもそもこの絞り染めのやり方は、稲葉先生のオリジナル。素人でも失敗しないで素敵に染まるよう、独自に考案されたもの。私たち、素人衆のすばらしい出来栄えに、稲葉先生ご自身がいちばんうっとりしていたことは内緒です(笑)。

私は今回の浴衣も『仕立屋 凛』さんにお願いするつもりなので、反物で引き取ることに。約1週間後にプレスしてから配送してくれるそう。夏祭りに着て行こうっと。楽しみですわ♪