2015.7.3

mi-mollet Short Story
ビンと王冠


*ほぼ毎週金曜日に ショートストーリーをお贈りさせていただきます。
*これまでの作品はこちらからお楽しみ頂けます。
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昔、憧れていた光景がある。

四ツ谷にあるミッション系の地元幼稚園に通っていた。
小さいとはいえ、教会の横に併設されていた幼稚園。

普段、幼稚園に通っている平日ではなく、日曜日のミサに親と行くと、ある光景がやけにまぶしく感じた。

教会の侍者室の横にあった、コーラの販売機。

侍者をしたお兄さんたちが、ミサのあとや、サッカーの合間にコーラやスプライト、ときにドクターペッパーを飲んでいたのが、カッコよく見えた。

中には、ハーフでモデルをしていて、雑誌でよく見かけるお兄さんもそこにはいた。名前はもうわからない。

その人も混じっていたせいなのか、どこかそれはあかぬけた世界だった。

 

しかも、当時コーラは瓶だった。ジュースの販売機には缶や紙パックもあった記憶があるが、コーラは瓶が鮮烈な記憶である。

緑のような水色のような瓶。それも大人っぽく見えたものだ。

販売機の横の、コンクリート壁に、王冠を抜く栓抜きが張り付いていた。大人の目線くらいの高さで、こどもには届かない。
それがまた魅力的に感じた。

 

きらきらと、時にひん曲がった王冠が地面に落ちており、それを拾ってコレクションするのが幼稚園児たちの楽しみだった。本当はやってはいけないことになっていた。けれど、どこか大人をつかむような、そんな内緒の園児たちの楽しみだった。スモックのポケットにしまうのだ。

 

そんなことは、ずっとずっと忘れていた。

そして 2015年。