日本に先駆け外出制限令が発令されたニューヨーク。いまだその制限下にあるニューヨークの街で人気になっているモノやコト、そしてウィズ・コロナ時代に生きる人々のムードとは…? ニューヨークのファッション業界に精通しているエディターの黒部エリさんに、タフで前向きなニューヨークの街の様子をリポートいただきました。

ロックダウン2ヶ月のニューヨークは、テイクアウトで歩道で立ち飲みも



3月の外出制限令から、ちょうど2ヶ月が過ぎたニューヨーク。
NYタイムズは、「全米の死者は100,000人近くに。計り知れない喪失」として一面に、新型コロナ感染で亡くなった人たちの名前を載せました。

10万人近い犠牲がどれほどすごい数字かというと、ベトナム戦争での死者が5万8000人ですから、アメリカが払った犠牲の多さがわかろうというもの。

それでも5月後半の時点で、全米50州でビジネスが再開。
ニューヨーク州では、クオモ知事が「14日間にわたり総入院患者数の減少、もしくは新規入院患者数15人以下」といった7つの条件を満たす地域からビジネス再開を指示していて、いくつかの地区ではビジネスが再オープンしています。

このビジネス再開は、4つの「フェーズ」順にカテゴリー分けされていて「フェーズ1」は建設業や製造業などであり、エンタメはもっとも遅い「フェーズ4」と定められています。

まだ7つの条件を満たしていないNY市は6月までビジネスオープンがないと見込まれていて、ブロードウェイは9月までクローズが決定。

それでもNY州ではロックダウンの効果があって、感染者数や死亡者数も激減。
5月23日にようやく1日の死者が100人を下まわるようになり、多い日は700人もの方が亡くなっていた1ヶ月前と比べると、気持ちは楽になっています。

しかも天気がよくなってきているので、あっという前に人々が外に繰り出して、公園は日焼けやピクニックをする人たちでいっぱい。

アメリカでは5月末のウイークエンドは、メモリアル・ウイークエンドと呼ばれて、正式な夏の始まり。多くの人がビーチに繰りだすのですが、今年は駐車場の50%までと決められました。

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天気のよいメモリアルデイ・ウィークエンドに公園で過ごすニューヨーカーたち

NYで変わったのが、バーでアルコール飲料をテイクアウトで提供できるようになったこと。
日本とは違って、NYではアルコールを公園やビーチなどで飲むことはできないため、テイクアウトもなかったのですが、今回のビジネス閉鎖では、テイクアウトが認められることになりました。

 

おかげで「テイクアウト」のバーでも、アルコール飲料を買った人が歩道で飲み始めてしまうという困った状況も出てきています。

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再開したマンハッタンのバー。テイクアウトだけだが、道端で飲み出す人も。Photo : Hiroko Furuichi


マスクや保護シールドもファッションに


そしてこのウィズ・コロナ時代、アメリカ人がマスクをつけるようになったのも大きな変化です。
3月初旬は、アジア系住民がマスクをしていると、ヘイトの原因になるので「つけないほうが安心」といわれていたもの。
それが、ここに来て「顔カバーをぜひつけるように」とNY州も指導しています。

NY州が提唱する「Wear a mask」キャンペーンの宣伝動画を、一般市民から募っていて、こちらの動画は振付師をしている男性が作成したもの。



顔をカバーするものは布でもいいとされているので、バンダナを使ったり、ランニング用のネック・ゲイター(筒状ですっぽり頭からかぶって首と鼻口を覆うことができるもの)を利用したりする人も目につきます。

さまざまなファッションメイカーやファッションオンラインサイトもいっせいにマスクを製作しだして、カラフルなマスクも登場。

コリーナ・ストラダでは、なんと100ドルという高価で、豪華なリボンつきのマスクを販売。こちらはファッションマスク1枚が売れるたびに、5枚のマスクを医療機関に寄付するという、社会貢献も含まれています。

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$100の豪華なマスクを販売するコリーナ・ストラダ

なかにはファッション魂があって、マスクをつけながらもファッション性を追求する人もいます。
このあたりのガッツは、さすがニューヨーカー。

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マスクも含めて、全身をトータルコーディネイトしたオシャレ番長な女性 Photo: Etsuko Chiba

またフェイスカバーもいち早くファッショナブルに作って提供するメーカーもあり、ウィズ・コロナの時代にはファッション小物の意味が変わってきそうですね。

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アーバンスタイルのフェイスカバーやマスクを売るアスレチックウエアサイト
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フューチャリスティックなフェイスシールドを付けた女性。ファッション性が高いギアを選んだそう。Photo: Yuko Hale


新型コロナ時代で、あたかもSF映画のなかにいるような日常を暮らしている私たちにとって、フューチャリスティックな保護シールドやギアも日常になっていくのかもしれません。

 
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