2015.8.18

大人の体験学習、紅花摘みに行ってきました!

「勝って嬉しい花いちもんめ〜」「負けてくやしい花いちもんめ〜」。近所の子どもたちが外で元気に遊んでいる歌あそび。

この歌の意味を調べてみると……花を一匁(いちもんめ)買う際に、値段をまけて悲しい売り手側と、安く買ってうれしい買い手側の様子をそれぞれ歌っていると書いてあります。その花とは?  実は、口紅の原料となる「紅花(べにばな)」だということを皆さん、ご存知でしたか?

 

 

東京から約3時間、山形県白鷹町で貴重な紅花の体験学習をしてきました。

 

■いざ、紅花の街へ!

山形の県花として知られる紅花は、東京では滅多に見る機会はありませんが、その昔、江戸時代から口紅や着物の染料として使われていた歴史のある花だということは有名な話。紅花からは黄色と赤色の2色を抽出することができるのですが、その割合は9:1と赤色が圧倒的に少ないんです。赤色を抽出するために、どれだけの苦労と手間がかかったことか……。

 

摘んだ花は鮮度も落ちるし、搬送もしづらいため「紅餅」という独自の形を生み出し、江戸を始め全国の染屋や染織工場へ納めていました。紅花を洗って発酵させてから、薄いお煎餅の形にして乾燥させる……という気の遠くなるような作業が続きます。

だからでしょうか、紅餅の価値は金と同等の価値とも言われていたほど、貴重な品物でした(花いちもんめの歌は、紅餅の値付けからきているといわれています)。

最盛期には村のあちらこちらで、紅餅づくりの光景が見られていたそうです。

山形県では今、紅花の文化を守っていこうという働きがあり、継承者のひとりである、今野正明さんの畑(山形県白鷹町)へお邪魔させていただくことになりました。

 

今回の目的である紅花摘みは、早朝に作業を行ないます。ナゼなら、紅花には鋭い棘があるため、朝露で葉がやわらかい早朝でないと摘めないから。朝5時にはゴム手袋とかご、それから日焼け止め対策を万全にして、畑へ向かいました。

収穫の時期は、一番良質な花が摘める7月半ばから下旬までと、ほんの数週間だけ。「1枚の紅餅をつくるために、250〜300輪の紅花が必要なんです。一輪一輪大切に摘んでいただいた紅花を、無駄にすることはできません」と今野さん。気温が高くなると花が一斉に咲くので、摘んでも摘んでも間に合わず、猫の手も借りたいとおっしゃっていました(笑)。

 

私たちも黙々と摘みました!

 

紅花って本当にキレイ。鮮やかな黄色なんです。ゴム手袋をしていたにも関わらず、手は真っ黄っ黄! すごいですね、自然のチカラって。収穫した紅花からはハーブに似た香りが……カモミールに近い感じ、かな。

 

 

 

時間があったので、紅餅づくりも参加することに。井戸水で黄色の染色を洗い流し、発酵させます。そのあと、花を潰して(昔は足で踏んでいたようです)、薄いお煎餅のように形を整えたあと、3〜4日天日干しに。

「両面をしっかり乾燥させなきゃいけないけど、大人が張り付いているわけにもいかないし。だから、昔の人は茣蓙(ござ)の脇に小銭を積んでおいたんだ。そうすると子どもがお小遣いほしさにやってくるんだよ。ひっくり返したら1枚持っていっていいよ、ってね」。

いろんな人の手を介して、紅餅が完成するんですね。

 

紅花摘みともうひとつ、紅花をつかった手染体験もさせていただきました。

 

明治17年からつづく米沢の老舗織機屋「新田」さんにお邪魔して、工場の中を見学させていただき、染色の歴史を勉強。野菜や植物から抽出した染料がこんなにも優しい色を生み出すものか、とちょっと感動しました。

「紅花はきれいなピンク色に染まります。柔らかく、やさしい色ですよ」と指導を受けながら、絞り染めに挑戦しました。

 

印象的だったのは、皆さんの紅花に対する想いの深さ。今回、この旅の案内役として同行いただいた、日本で一番古い女性用化粧品メーカー、伊勢半本店さんの想いも一緒でした。

「私たちが大事にしている“紅”は昔から日本人の生活や文化に根付いているものなんですよ。ひな祭り、七五三などの行事から大人になってお化粧をするとき、結婚式、還暦などハレの日にはいつも紅が寄り添っているんです。女性の一生に寄り添う紅は、この紅花からつくられているんですよね」と伊勢半本店の瀬﨑麻未子さん。化粧品業界に携わる人たちに、少しでも紅の歴史を知っていただきたいから……と、もう何年も続けているそうです。本当にありがたいお話です。

 

ちなみに、伊勢半本店の「小町紅」は、おちょこに玉虫色の染料が塗られているので「どこが紅なの?」と聞かれるそうなのですが(笑)、玉虫色こそ良質な紅の証。水で溶かすと鮮やかな紅色に変わります。

普段何気なく塗っている口紅も、愛おしくなりますね。

 

新鮮な空気と自然に触れ、貴重な体験をさせていただきました。