田舎から出てきて最初に歩いた街は表参道。まだ同潤会アパートも健在で、パリを思わせるようなカフェが並んで、街路樹が美しく、都会でありながら、どこかオアシス感を漂わせるような街並みだったのを覚えています。

それからさらに昔の話。原宿がファッションやカルチャーの発信源だったことを、改めて感じさせる写真展『70’s原風景 原宿展』が開催されました。主催者はスタイリストとして長年キャリアを積まれてこられた中村のんさん。

豪華キャストによるトークショーも行われました。左より、主催者の中村のんさん、日本のスタイリスト第一人者 高橋靖子さん、私、クリエイティブディレクターの箭内道彦さん。

このギャラリーを一歩入ったら、誰もがタイムスリップ。そこには、今では貫禄たっぷりの国内外の大御所たちが、初々しく、弾けんばかりのパワーと独創性にあふれたファッションに身を包み、原宿を闊歩する姿がフィルムに焼き付けられています。この展示を見ていると、きっと「この時代は良かった」と懐古する気持ちにふけってしまう人もきっといるはず。事実、私もそのひとり。

入った途端タイムスリップ!どの時代もストリートファッションはおもしろいけど、古臭さを全く感じないほどとてもオシャレ!

でも、彼らのかっこ良さというのは時代の云々ではなく、「自分の表現方法のひとつにファッションがある」ということに貫く心意気のような気がします。誰かのためのファッションということでなく、自己表現のツールとして、楽しく、自分らしく、潔く着こなすという感覚は、今の時代にはなかなか難しくなってきたのかもしれませんね。

ところで、私の原宿百景の一つに(失礼!)、原宿でも名物になりつつある古い建物の中にオフィスを構える人物が一人。NHKの龍馬伝や平清盛ほか、映画や舞台などで「人物デザイン」という新たなエリアを開拓された、柘植伊佐夫さん。打ち合わせもあって久々お会いしました。以前平清盛での衣装の話しをされたとき、杏さんが演じた北条政子の衣装の話が印象に強く残っています。その時代にはあり得ない掟やぶりのスタイルをあえて提案。男まさりに北条家を切り盛りし、幕府をリードした北条政子の剛強果断の性格を演出として衣装に表現したという話しでした。そう、時としてファッションはその人のキャラクターさえも映し出す大切なツールであることの解りやすい例えかもしれません。

いつもフレキシブルで仕事を楽しんでいる姿が印象的な柘植さん。

そんな柘植さんの思考回路はとても独創的で哲学的。著書本はもちろん、ブログ「うつくしいひと」もおもしろいので、ご興味のある方はぜひ覗いてみてください。何か気づきを与えてくれるかもしれません。

柘植さんの著書本。その専門家でなくてもおもしろいです。

この日はどっぷり原宿日和。大雨に見舞われずぶ濡れでしたが、原宿を拠点とする諸先輩がたのご活躍を目に焼き付けて、また明日も頑張ろうと思った1日でした。