出始め食材をいただくのが「走り」で、旬がすぎてそろそろ終わりを迎える食材をいただくのが「名残」。去り行く季節を惜しむ食材と、これから来る季節の到来への喜びを見いだす食材を組み合わせた「出会いもの」――その代表的な出会いものは、今の時期に割烹などで供される「(名残の)鱧と(走りの)松茸」の組み合わせではないでしょうか。本当に四季があるって豊かなことです!

残念ながら、鱧×松茸をいただく機会には恵まれないものの、このシルバーウィークに私なりの「名残り」と「走り」をいただきました。

名残りの冷やし中華と走りのショコラショーです(もちろん、組み合わていただくものではないので、鱧×松茸のように出会いものとは言いませんけれど)。

この夏、私は冷やし中華をよく食べました。冷やし中華は、高級中華料理店のそれより、街の中華屋さんのそれのほうが美味しいと感じるのは私だけでしょうか? 立派なエビが添えられたり、神々しいチャーシューがのっていたり……1000円を超える冷やし中華は、もう冷やし中華と呼ぶべきではないと思うのです(個人的見解です)。

相模湖畔にあるノスタルジックな河内屋さん。冷やし中華を扱いながらも、店先ではおでんがしっかりと煮込まれていました(笑)。
たぶん、これが私の「ラスト冷やし中華2015」です。昔、母親が夏休みに作ってくれたようなド直球な冷やし中華がいちばん美味しい! 

そして、秋。肌寒さを感じると、私はショコラショーを無性に飲みたくなります。ホットチョコレートをフランス語で言い換えているだけなのですが、ショコラショーという響きはなんだか私のカラダをより温めてくれる気がしているので好んで使っています。オーバーオールをサロペットと言い換えたくなる気持ちに少し似ているかもしれません。※ちなみに(諸説ありますが)ココアはカカオから油分(ココアバター)を抜いたものをお湯に溶いたもの、ホットチョコレートはチョコレートをミルクに溶かしたもの。

私のお気に入りショコラショーは、ジョン・ポール・エヴァン。甘み、苦み、酸味、スパイシーさのバランスが異なった数種のショコラショー(さらに季節限定のフレイバーも加わることも!)が楽しめます。私は、苦みがあるタイプを選び、マカロンとセットでいただいております。
そして、この秋、いちばん最初のショコラショーのお供には澁澤龍彦をチョイス。爽快な読み口のものから、こってり濃厚な文章を読みたくなる気分の移ろいにも秋の訪れを感じます。

日中の夏のような陽気が日が暮れてからは、一転、秋の空気に変わるこの時期。「名残」と「走り」の味覚を交互に楽しんでいるうちに、秋食材が一気に「旬」を迎えることでしょう。

シルバーウィークが明けたら、食欲の秋本番突入前にさぼり気味だったジョギングを再開しようと心に誓う編集部・大森なのでした。