いい女の必需品は、
ジップロックよ

大草:私たちの世代は、年齢でいうと若者でも、高齢者でもないという揺れ惑う本当に難しい世代で……例えばフランスなら、40代〜50 代女性は一番女盛りだという評価を受けるとよく聞くわけですが、日本ではまだまだそういう価値観は根付いてないわけで。

水谷:なるほど、なるほど。

大草:私は、40 代なのに後ろから見ると20代に見えるということを目指したくないんです。千重子さんが “いい女だ”と思われるような像ってあるんですか?

水谷:そうだなぁ~。例えば、具体的な例で挙げると、友達の家に行って、なにか友達の家に忘れ物をしたとしますよね。そしたら、後日、その友達がその忘れ物を届けに来てくれる。さらに、その忘れ物をジップロックに入れてくれる。

大草:爆笑

水谷:忘れた時よりもきれいな状態で返してくれる、みたいな。そういう気配りのできる女性って、いいなって思わない?

大草:ハンカチを忘れたら、それを洗って、アイロンかけて、ジップロックにいれて、みたいなことですよね。なるほど、なるほど!

水谷:「あら、この子できる子だわ」って、やっぱり思っちゃうわよ。それが計算で、男の人だけそういうことするのだったらどうかと思うけれど、自然にできたら最強よ。そういうことが「彼女にしたら」「奥さんにしたら」って男性に想像させちゃう魅力になるんじゃないかしら?

大草:水谷さんもそうされてきた自覚はありますか?

水谷:そういうことを自然にできる女性を見て、「女性ってこうあるべきだな」って教えられたことはありましたね。あと、やっぱり、薬味を使って美味しい料理をつくれることね。

大草:ショウガとか?

水谷:ネギとか、しょうがとか、ニンニクとか、ミョウガとか、大葉とか、そのあたりを工夫して気の利いた感じで使える女性って、「あ、薬味だけでこんなおいしい料理が作れるんだ」みたいなね。うん、薬味上手な女はいい女のイメージがあるわね。


だんだん女の子になってる気がする

大草:どうしたら千重子さんのように女としての人生を謳歌できるんでしょうか?

水谷:千重子はね、だんだん女の子になってる気がするの。というのも、10代20代の頃は背伸びしたりとか、傷つきたくないとか思ったりして、感情を素直に表現できないじゃない? 恋愛の例が分かりやすいんだけど、今の千重子は「この人を逃すと後がないかもしれない、じゃあ今いかなきゃ、いつ行くの、誰が行くの」みたいな思考になるの。思いとどまっているようなことをしている時間はないっていうのもあるんだけど(笑)。

大草:でも、なかなかできないですよね。

水谷:結果を想像せず、すぐ飛び込んじゃう。それでダメだったらその悲しみっていうものを経験することもできるし、行動しなかったら味わえない感情を経験できるので、それが人生勉強につながると思ってるの。少しずつ素直な表現をすることに慣れていくと、不思議といろんなことに対し素直になれてくるのね。それが可愛げになるんじゃないかなって。

大草:そういうところが、だんだん女の子になっていっていると思われているところなんですね!

水谷:変なプライドとか、そういうのは全部、今の千重子にはないの。先ほど、フランスでは40〜50 代の女性が女盛りとして扱われるとおっしゃったじゃない?  聞いていて、「だからか」って思ったんだけど、「好きなタイプの人は?」って聞かれたら、千重子は絶対にアランドロンって答えてるの。女性を紳士的な目でね、年齢とか関係なくみてくれてる気がするじゃない?

大草:ヨーロッパの方に惹かれるんですか? アランドロン以外にも?

水谷:旅行に行ったりとか、お食事したりとか、外国人の方と接するとね、やっぱり女性としてちゃんと扱ってくれるなって思いますから。