日本のメイクアップアーティストの草分けであり、80歳をこえて今なお現役。各地を飛び回り、「今がいちばん忙しい」と語る美容研究家の小林照子さんが11月25日に新刊『80歳のケセラセラ。いくつになっても「転がる石で」』を上梓。美容に携わって60年。美と人生の達人である小林照子さんに、更年期の乗り越え方から、キャリアと家庭の両立まで、ミドルエイジの女性の不安と切実な問題についてお話を伺いました。

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小林照子(こばやしてるこ)
美容研究家・メイクアップアーティスト。1935年生まれ。1958年小林コーセー(現コーセー)に入社。世界初の「美容液」をはじめ数々のヒット作を生み、1985年に同社初の女性取締役に。56歳で独立し「美・ファイン研究所」を設立。ビューティ・コンサルタントビジネスに携わる一方、現在[フロムハンド]メイクアップアカデミー、青山ビューティ学院高等部の校長として美のプロフェッショナルの育成に力を注いでいる。


更年期は、自分で自分を
かわいがる時期と思って


__ミドルエイジ女性の方の中には、更年期を迎えることへの不安や、年齢による体調の変化を感じている方も多く、「アスク&アンサー」にも多数お悩みが寄せられています。

小林:更年期の症状は100通りもあると言われています。個人差はあるけれど、更年期はまず皮膚に現れるの。肌と脳、そして心はつながっているので、皮膚が落ちると気持ちが落ちる。すると、口角も下がるし、顔も下垂してきます。だからよく更年期になると「怒りっぽくなった」と人からいわれるといいますが、本当に怒っている場合もあるけれど、不機嫌そうに見えるというのもありますね。

__小林さんは「更年期に入ったら、医療より美容にかかったほうがいい」とおしゃってますね。

小林:肌をお手入れすること、肌状態をあげることがどれほど女性の自信に直結していることか。美容のよいところは母親のような優しさと温かさがある。更年期は、そろそろ自分でかわいがる時間をもつべき時期なんです。美容のプロに頼ってもいいし、自分が美容のプロになって、肌を温めたり、マッサージしたりするのもいい。五感が気持ちいいと感じることに時間を使うことがとっても大事。

__小林さんご自身の40代、そして更年期はどんなでしたか?

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小林:40代は仕事の転機と身体の不調が重なってくる時期でしたね。45歳のときに、独立して美容のスクールを設立すること志し、娘もまだ大学生で海外留学中のため仕送りもしなくちゃいけないとか、すべてに全力投球でした。仕事に向かっているときはとても元気なんです。でもふと家に帰るとガタがきて、めまいがしたり、地面がゆれるような感じがしたりしていました。主人に言ったら、私の目を覗き込んで「ちっとも目なんかまわってないから大丈夫」って(笑)。でも腰も痛いし、眠れないし、頭痛もするし……と、あっちもこっちも具合が悪いけど、血が出てるわけじゃないから、家族にもなかなかわかってもらえないのね。45歳くらいから50歳くらいが一番しんどかったかしら。今思うとあれが更年期だったんだなあって。でも、パーッとトンネルを抜けるように急に盛り返す日がくるから、安心してくださいね。

 
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