前々回にチラリと紹介した、九州・佐賀県唐津にある宿「洋々閣」では、唐津を代表する作家の器が使われていました。唐津・十二代中里太郎右衛門の五男として生まれた中里隆さん、息子の中里太亀(なかざとたき)さん、娘のhanakoさんの作品は、洋々閣内のギャラリーに並んでいて、気に入った作品を購入することもできます。

洋々閣にあるギャラリー。ほかに2カ所、ギャラリーがあります。

私は中里隆さんの白磁器「日常の器」シリーズから、和・洋・中と何にでも合って、料理がおいしそうに見えて、価格も日常使いがしやすい“高足深皿”を選びました。また、川島豆腐店でも使われていた中里太亀さんの器も購入。これは数が揃わないこともあり、あえてのバラバラに。アメリカと日本を行ったり来たりして作品をつくっているhanakoさんの「monohanako」にも、心惹かれるものが多くありましたが、こちらは数が揃わず断念しました。

中里隆さんの「日常の器」シリーズ。ずっと人気のロングセラー。少しずつ、買い足せるのもうれしいですね。
中里太亀さんの作品。丸と角の融合。こちらもバラバラなので、少しずつ買い足す予定。

さて、唐津から車で60分ほど行くと焼き物の里、伊万里や有田があります。伊万里を少しすぎた武雄市の里山にある山本英樹さんの窯を訪ねる機会にも恵まれました。ちょうど、実家である窯元宝寿窯の隣に、手づくりで窯を建てているところ。窯から少し離れたところにあるギャラリーに案内され、愛犬ポポちゃんにご挨拶してから、作品を拝見します。

山本英樹さんの作品。私はザラザラでマットな焼き物がじつは苦手な無粋な人間ですが、山本さんのはきめ細かで手に持った感じも心地よかったです。

焼き物とか器とか、まったくの素人ですが、ひとつの大きな器に目が釘づけになる私。両手で抱きしめながら、さんざんうろうろして迷っていたところ、「さて何を入れましょう? 例えば、大根サラダを入れても素敵なのでは!」と友人が。そのひと言に背中を押されて、こちらも購入することにしました。ちょっとかさ張るし、重たいのですが大切に持ち帰ります。

山本英樹さんの深鉢。底が湖みたいできれいなのです。こちらを購入しました。

若い頃にひと通り揃えた食器もひとつ欠け、またひとつ割れたりして中途半端になりました。また数十年が経って、好みも流行もかなり変わってチグハグに。食器はなかなか処分しづらいけれど、フリーマーケットやバザーに出品して、少しずつ整理、入れ替えを始めています。数はたくさんいらないから、お気に入りだけを使い込んでいきたい。じつは、そんな小じんまりした暮らしに憧れているんです…………しんみり。

ポポちゃんと私。のんびりした人懐こいワンちゃんでした!