初めてイギリスのマナーハウスホテルに泊ったときのこと。窓のしつらえに夢中になりました。イギリスの本によく出てくる、ウィンドウシートがあったからです。窓辺のソファは庭を見下ろすのにぴったり。すっぽりはまりこむように座って本を読むのも楽しい。日本にもこんなウィンドウシートがあればいいのに、と思ったのですが、よくよくつくりを見てわかったことがあります。それは石造りの、壁の厚い家だからこそ可能なのだということ。ウィンドウシートの窪みがそのまま、石の壁の厚さなのです。家は、いわば「その土地に生えたもの」。デザインだけ真似ることは意味がありません。それは家だけでなく、他のことにも当てはまることだと思います。