2015.12.21

ひとり股旅 〜そして、尾道に恋をする〜 最終回

数回にわたり駄文を書き散らしてしまった、尾道&しまなみ街道編。いかがでしたでしょうか?

千光寺公園内の展望台から尾道を一望。

海が見えた。海が見える。 五年振りに見る尾道の海はなつかしい。 汽車が尾道の海にさしかかると煤けた小さい町の屋根が提灯のように拡がってくる。 赤い千光寺の塔が見える。山は爽やかな若葉だ。 緑色の海の向こうにドックの赤い船が帆柱を空に突きさしている。 私は涙があふれていた。(放浪記より)

こちらは、林芙美子『放浪記』の一説です。昭和初期に書かれた文章の中の風景と私がこの目にした風景とのギャップがほとんどない、それが尾道でした。

作家・志賀直哉は、東京から尾道へ移り住み『暗夜行路』を書きました。ブログで書いた大林宣彦監督だけなく、小津安二郎監督の映画『東京物語』の舞台にもなり、様々な歌人が尾道の歌を詠んでいます。

ゆらゆら歩くといろいろな看板が。地図やガイドブックを見ずに、そぞろ歩くのが楽しい街でした!
こちらが志賀直哉が『暗夜行路』を書き上げたと言われる旧居。
  • カフェよりも喫茶店が似合う(私の主観です)尾道。私好みの純喫茶がたくさん点在しています。こちらは尾道本通り商店街の中にある「バラ屋」さん。
  • こちらは同じ商店街の中にある、「ゆーゆー」。元銭湯・大和湯をそのまま生かしたショップ&カフェ。
  • ロッカーやタイルなどがそのまま。「ゆーゆー」は、ディテールを眺めているだけで楽しい気分に。
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のどかな瀬戸内海と緑豊かな山が街をやさしく包み込んでいる尾道。その山肌は昔ながらの建物で覆われています。そして海岸線や商店街を中心に、旧い建物を生かしたまま再生させた施設やお店が点在しています。

  • 街角の風景がいちいち楽しい!
  • 果物がたくさんとれる瀬戸内海沿岸だけに、フルーツパーラーやジェラート屋さんも充実。
  • 移動式の魚屋さん。こんな風景が違和感なく街に溶け込んでいます。
  • 帰りの新幹線の時間がくる前に、ロープウェイで展望台へ。行きは利用し、帰りは徒歩で下山しました。
  • 尾道ゆかりの作家、詩人の名作がつづる静かな散歩道文学のこみち。こちらをたどっていくと尾道のランドマーク・千光寺が見えてきます。
     
  • 居酒屋さんでビックリしたメニュー(笑)。イサキの仲間で瀬戸内海でしか獲れないのだそう。

初めて訪れても懐かしいと思えるノスタルジーさとともに、「新しいものはいいものだ」という価値観にふりまわされ疲弊してしまった現代が目指すべき街のあり方が尾道にはあると感じました。観光資源としての自転車関連事業も、サイクリングロードの発着地点として、ますますその価値を高めていくと思います。暮らしと自然、都市機能、観光産業のバランスを、これからもずっと上手に保ち続けてくれることを願うばかりです。

こちらは駅の自転車組み立てスポット。今後もサイクリストの街としてさらに発展していくことでしょう!

そのようなことを思いながら、編集部・大森は山陽本線に乗り込み、尾道を後にしたのでした。

これにて長々と続けてしまいました、ひとり股旅、終わります!