プレッシャーを乗り越える唯一の方法は、
周囲とのコミュニケーション


一方で、中村さんが演じられた王子監督は、自分の作った過去の作品を超えられなかったらどうしようという恐怖やプレッシャーをずっと抱えてきたというキャラクターです。おふたりともとても多くの映画やドラマに出演されていますが、そういったプレッシャーを感じたことが今まであったのでしょうか。その乗り越え方についてお話いただきました。

吉岡:プレッシャーを感じる瞬間は確かにあって、それは現場が始まる前のまだ温まっていなくて、これで合っているのかなとフワフワしている状況のとき。乗り越え方はとにかく話す。周りの方々とコミュニケーションとって話し合って、引っかかっている部分に関しては徹底的に話してみることで自信を持てます。

【吉岡里帆×中村倫也】新人扱いから「認めてもらえた」と感じた瞬間は?_img7

 

中村:王子千晴の世界だと、【0から1にする】作業なので、僕らの職業とはクリエイティブな段階ですでに少し違うと思うんですよね。僕たちは脚本もディレクションもあってと、あらゆるものが揃っている中で“役者”というセクションで入るので、王子みたいに自分の発想が浮かばないとか、何かを生み出せないとまったく前に進めないということではないですからね。僕もエッセイを書いていたりするので、自分の中で感じるちょっとした違いみたいなのがあるのですが、0から1にする作業の方がすごく大変で、そこにはよりパーソナルな何かが出るのではないかと思います。

【吉岡里帆×中村倫也】新人扱いから「認めてもらえた」と感じた瞬間は?_img8

©️2022 映画「ハケンアニメ!」製作委員会

だから、彼らが感じているプレッシャーと僕らが普段感じているものは違うと思うんです。僕らは役とか作品によって全然違うことを求められるし、むしろ、違うことができますから。自分がプレッシャーを感じるのは……、なんですかね。たとえば、自分の知らない感覚や経験したことがないことを経験して背負っているような役をやるときに「今日この撮影で(その感覚が)芽生えて残せるかな」とすごく不安に思う日は多々あります。

 

そういうときはやってみるしかないし、より人に頼るというか……。役者の芝居って自分の中から生み出すものももちろんあるんですけど、相手と芝居をすることで到達できるものもたくさんあるんです。だから、そういうときほどすごくほかの役者さんに頼りますね。【人の芝居を見る】というアンテナが、実はめちゃくちゃあるんですよ。