日常で感じる「ちょっとした違和感」について井戸端会議していくこの連載。ウェブマガジン「ミモレ」とその読者コミュニティ〔ミモレ編集室〕に寄せられた皆さんのモヤモヤエピソードをご紹介していきます。

今日ご紹介するのは、夫のつぶやきにモヤつくという妻のモヤモヤエピソードです。

 


「なんで今さら文句を言うの?」テレビにぶつくさ言う夫にモヤモヤします


エピソードをお寄せくださったのは、ちょっと口下手だというリツコさん(52歳・主婦)。


私の夫はとても弁が立ち、いつも堂々としていて交渉ごとが上手です。私は口下手で気が弱いので、夫をとても頼りにしてきました。でも、最近なんだかモヤつくことが……。

テレビで、以前上司にセクハラ・パワハラを受けたという女性が勇気を出してそれを職場に訴えたというエピソードが紹介されていました。当時は勇気が出ず我慢したけれど、今でも思い出しては精神的に不安定になるので、周囲の人の助けも借りて声を上げることにしたという話です。

私は内心「やっと訴えることができてよかったね」と心底思いました。しかし夫は、「なんでその時に言わないんだ? 今さら訴えても、証拠も出てきにくいし意味ないだろう」と言うんです。その後も、「僕の職場でも、後から『あれは嫌だった』『あのとき実は悩んでました』とかいろいろ言う人がいるんだよね。その時は何も言わなかったくせに、なんで昔のことを蒸し返すんだろう」とぶつぶつ。

ああ、これ私もよく夫に言われていたなと思いました。子供の進路・親戚付き合いなどについて夫と話し合いをするとき。私はパッと言葉が出てくるような器用なタイプではないですし、夫の理路整然とした話の前では言葉を飲み込んでしまいます。でも後から考えてどうしてもモヤモヤして、「ねえこの前の話だけど……」と声をかけると、「一度まとまったものを、なんでお前は後から蒸し返すんだ?」とうんざりしたように言われるんです。

自信満々な夫は頼りになりますが、夫のこんな発言を聞くと寂しい気分になってしまいます。

 


言葉を飲み込むしかなかった人への想像力


「言いたいことがあるならその場で言えばいいのに……」リツコさんのご主人のつぶやきは、頭の回転が速く口が達者な人あるあるかもしれませんね。確かに、何か問題があるならその場ですぐ指摘して、議論するのがベストだとは思います。一度みんなで決めたものを、後から「やっぱりあれは良くないと思います」なんて言い出す人がいたら、うんざりする人もいるでしょう。

しかし、世の中には口下手な人、じっくり物事を考える人もいます。みんながみんな、リツコさんのご主人のように当意即妙に話ができるわけではありません。

もちろん、仕事を進める上では「話を蒸し返す」のはご法度だったりします。だからこそ、みんなの様子を見て、声を拾い上げて、ちゃんと合意形成することが大事なのだと思います。「話し合いのときには何も言わなかった」のではなくて、「何も言えなかった」のかもしれない。反対意見を言い出しにくい雰囲気になってないか、一部の人で一方的に話を進めていないか。そんなことを自戒すべきだと思います。

ハラスメント問題がからむ場合は、更に慎重さが必要です。セクハラ・パワハラなどに対する人々の意識は、どんどん変化していますね。ほんの10年前までハラスメントだと認識されていなかったことも、今の常識に照らしてみればハラスメントだったりします。「ずっと一人で悩んできたけれど、時代の変化とともにやっと声を上げられた」という人だっているでしょう。
 

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【漫画】「話を蒸し返しちゃダメなの?」弁が立つ夫にモヤつく……
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