2016.5.1

『パークアヴェニューの妻たち』【GWにおすすめの本】

こんにちは、編集・川端です。編集部ブログといえば、大森センパイ。最高学府・バカ田大学の続きを楽しみにされている方も多いと思うのですが、”卒業証書をもらえるまでは筆をとれない”とセンパイ、謎のこだわりを見せておりますゆえ、バタやんが中継ぎさせていただきます。

ゴールデンウィーク中、たまにはゆっくり読書でもと思われている方におすすめの新刊本を1日1冊ご紹介していきます。いつもは暇があればついスマホばかり見てしまっている私ですが、休みの日や長距離移動の時はまとめて本を読みます。

「バタやん、脚立を持ち歩いたら、どこでも本が読めるじゃん」と大森センパイに言われてやってみました。日が暮れてきてちょっと寒い・・・。

なんでこんなところで読んでいるのかというと、今日ご紹介したい本が、『パークアヴェニューの妻たち』。NYの超高級住宅街に住む専業主婦たちの暮らしぶりを、自ら体験した社会学者が描くノンフィクションです。

NYのパークアヴェニューは、高級住宅地のアッパー・イーストサイドの中でも最もステータスが高いと言われている地域。
(私、NYにそれほど詳しいわけでもないのですが、アメドラが大好き♡なもので、地名にときめきます)「gissipgirl(ゴシップガール)」はアッパー・イーストサイドのハイスクールが舞台だし、「Sex and the City」でもシャーロットもキャリーも「結婚してアッパー・イーストサイド(中でもパークアヴェニュー)に住みたい」ということが象徴的に描かれていますね。

そんなパークアヴェニューで暮らす専業主婦たちの実態に迫る、なんてちょっと意地の悪いルポルタージュみたいですが、そもそもは、著者である社会学者の女性が、子供を評判のいい公立学校の近くで育てたいとダウンタウンからアッパー・イーストサイドへ引っ越すことから始まります。

「女王バチ」タイプのママによるいじめや、
ママ友ランチ会での生活レベル審査、
バーキンを持ってないと仲間に入れないバッグ検定、
コートの襟をいきなり後ろからひっくり返されて、タグを覗かれ「安物ね」と言われたとか……(!)、
まあ、日本の高級住宅地や有名私立校などのコミュニティでも、なくはないなというエピソードたち。(編集部でもあるかも?ミモレはないけど(笑)ファッション雑誌はわりとあります)

とはいえ、セレブぶりが桁外れなので、”場違い”で”気まずい”思いを繰り返す著者がかわいそうだなと思いつつ、ハイヒールを履くために足に注射、なんてところまでいくとちょっと笑ってしまいます。

著者は、自分を観察者という客観的な立場に置くことで、仲間はずれの精神的な苦痛から逃れ、冷静さを保とうとします。

でもこの本の面白いところは、著者もただの観察者のままではいられず、いつの間にかこの世界のルールに染まっていくところです。徐々に傲慢さや虚栄心が顔を出してきます。
そこが、この本がただの悪趣味な暴露本で終わってないところ。そのあたりの分析は、巻末の訳者のあとがきが素晴らしいので、是非読んでから本編をお読みください。(訳者は『プラダを着た悪魔』『レベッカのお買いもの日記』シリーズを翻訳している佐竹史子さん。軽妙な訳とファッション用語のわかりやすさが見事!)

著者の専攻のひとつが霊長類学であったようで、チンパンジーや猿の群れとママ社会の比較がちょこちょこ出てくるんですね。

 

私、年明けに、高崎の猿山に遊びに行ったのですが、そこの飼育員の人が、キーキーと取っ組みあいの喧嘩をしている2匹の猿を見つけて「あれは絶対メス猿同士だよ」と。「オス猿は徹底した年功序列社会なので、年長者のエサには手を出さないのですが、メス猿はルールがないので小さな諍いを繰り返す」のだそう。

人も同じでしょ、なんて失礼なことは言わなかったけれど、明確な年功序列じゃないからこそ、独自の序列を作ってマウンティングを繰り返すのかもしれませんね。

と、なんだか話が逸れてしまいましたが、もし皆さんの中に、4月から始まった新しい環境に馴染めずにいたり、価値観の違いに戸惑ったりしている人がいらしたら、『パークアヴェニューの妻たち』、気晴らしにぜひ。少しラクになって元気が出るかもしれません。

明日は、角田光代さんの『坂の途中の家』をご紹介したいと思います!