2016.5.4

『おめかしの引力』【GWにおすすめの本④】

こんにちは、編集・川端です。
引き続き、勝手に(!)GWに時間があるから本でも読もうかな〜という方におすすめの本を紹介していきます。

今日は、ファッションラバーな皆さんにぜひとも読んでいただきたい川上未映子さんの『おめかしの引力』です。

本にちなんで代官山のおしゃれスポット「ログロード」でも脚立に座って読んでみました。さすが代官山、誰も気にもとめない!

朝日新聞で6年にわたり連載されていた川上未映子さんのファッションにまつわるエッセイをまとめた本です。

川上さんのおしゃれ好き、お買い物好きはご存知の方も多いかと思いますが、これほどまでにお洋服に対する”愛と葛藤”をバリエーション豊かに語れるってやっぱり天才!!と感心しきりです。ミモレの人気コラム発田美穂さんの「欲しいものだらけで困る!」もそうなんですが、そう思ってたの私だけじゃなかった〜と勇気づけられるとともに、私の悩みなどまだまだだと気づかされたりします。

私のお気に入りの章とフレーズをいくつか紹介しますね。

まずは「秋冬必須のとっくりですが」。「とっくり、の方が断然すてき。自分が温かい飲み物にでもなったよう。」とはさすが大阪人。

「パンツはけない初期設定」「ファストファッションに弾かれて」「シルクが藁になる瞬間」「セレブ洗剤の使い道」「伊勢丹で日割り計算をしてみる」・・・などなど。見出しだけで日本酒が一合飲めそうです。

いまをときめくアーティスト、吉田ユニさんの装丁もニクいばかり。『おめかしの引力』¥1400(川上未映子・朝日新聞出版)

6年朝日新聞に連載していたとありましたから、3月11日の東北の大震災の時期も連載をしているんですね。「自粛のつもりはないけれど」「節電の世界で見えるもの」などの章や、最後の対談にも、こんな時にファッションの話なんてどうなんだろう…という著者の葛藤が垣間見えます。

そもそも、新聞というメディアはハッピーではない事件や事故の記事が多くを占めるわけで、その中でなんとノーテンキな・・・という「うしろめたさ」やファッションへの「シラけた気持ち」も川上さんは持ち合わせながら、”厳しい現実を一瞬乗り越えるための、キラキラしたチャーミングな部分”を担おうという覚悟が語られていました。

熊本の震災を受け、ミモレ編集部内でもいろいろな話し合いがありました。個人的にもこれでよいのか、何ができるのかと結論が出ていない中で、川上さんの覚悟と冷静な自分にできることへの分析にはハッとさせるものがありました。

同時に一冊を通じて、「ファッションやそこにある素敵な装飾品を『いいね!』と言える自分、その良さをわかる自分を、可視化させる」ことへの肯定が語られています。

ミモレ読者の方の中で、もし「年甲斐もなく」とか「着道楽」でいることの、おしゃれに対する「うしろめたい」気持ちでもやもやとされている方がいらしたら、ぜひ手にとってみていただけたらと思うのです。

ちょっと真面目な締めになってしまいましたが、大部分は、あらあらそんなに買ちゃって〜、いいなあ〜、と他人が大きい買い物をするのを見物する楽しさに溢れたエッセイです☆

明日は、今、業界注目の気鋭の新人・木下古栗さんの『グローバライズ』をご紹介します!