この秋、成駒屋は親子四人揃ってのご襲名という喜ばしいニュースが発表されました。

俳優としてもご活躍中の中村橋之助さんがお父様の名跡を継ぎ「中村芝翫」へ。三人の息子さんも、「橋之助」「福之助」「歌之介」と、新たな一歩を踏み出すことになります。

今回ご縁あって、そのご襲名を祝う会へ。記念すべき門出を祝いたく、二千人超えのご来場者という大きな宴となりましたが、橋之助さんご一家の仲の良さか、終始幸せで和やかな空気に包まれていました。

奥様の三田寛子さんとご一緒に。このような場でなければ日の目を見ないお着物で伺いました。

お亡くなりになった7代目の中村芝翫さんは、面長でありながら優美な佇まいは他にない独特な存在感を放ち、人間国宝としても著名な方。その名跡を継ぐことへの重みはいかばかりでしょうか。

歌舞伎界において、男として生まれた時点で世襲制の世界に身を投じなければならないというストイックさは、一般の私たちには理解できないご苦労があると思います。だからこそ、なせる美学や格式というものが保たれているのかもしれません。反対に、新しい世代が枠に囚われず、「歌舞伎」のさらなる可能性を追求し、新たなエンターテイメントを見せてくれることを楽しみに思わずにいられません。

引き出物は、8代目中村芝翫さんのヒストリーや思いが綴られた写真集と、クリエイティブディレクターの佐藤可士和さんデザインの風呂敷。とてもおしゃれです!

そして、男社会の中で紅一点、「妻」・「母」の存在は、真の「影の立役者」。この日も奥様の三田寛子さんは笑顔で甲斐甲斐しく気配りをされており、ご挨拶させていただいた際の「息子三人をどうぞよろしくお願いいたします」という言葉がなぜかとても印象に残りました。それは、梨園の妻というより「優しいお母さん」そのもの。そんな姿がとても美しく、素敵に映ったのは、やはり彼女の「心」から発せられる言葉であり、素顔そのものだったように思えます。

お父様に続き、三人の息子さんの新たな時代にも期待が高まります!十一月共演の連獅子も楽しみ!

そんな新しい成駒屋の襲名披露の舞台がこの秋から始まります。歌舞伎座において十月第歌舞伎においては「熊谷陣屋」「極付幡随院長兵衛」を。そして十一月の吉例顔見世第歌舞伎においては「盛綱陣屋」と親子4人揃っての襲名初舞台「連獅子」は必見です。少し早いのですが、秋の芸術鑑賞はぜひ歌舞伎座へ!