©UNICEF

私の友人たちを通してリアルな国連をご紹介するシリーズの第二回目は、根本巳欧(みおう)さん。同業者として昔から知っていて、いつどこで出会ったのかは忘れてしまったほどです。偶然ですが、初回で登場した小山淑子さんとは現在、タイのバンコクでご近所さん同士とのこと。(以下、文中リンクはすべて日本ユニセフ協会の関連ページへ。)

ー 根本さんはUNICEF(国連児童基金)で、紛争や自然災害などへの緊急対応の専門官としてアジア太平洋地域を担当されていますね。今、最も力を入れていることは?

アジア太平洋地域では、経済発展の一方で自然災害の危険性が高く、人々の間の格差も拡大しています。紛争や災害は弱者をさらに弱め、格差を助長する要因となりますが、特に子どもたちに与える影響は深刻です。

そこでUNICEFは、3つのことに力を入れています。まず、危機の予防や対応準備の強化。ベトナムやマレーシアでは、学校のカリキュラムに防災教育を盛り込む支援をしています。

次に、格差の拡大により、教育や保健サービスを受けられない子どもたちを守るため、社会保障制度や司法制度を整えること。2年前のフィリピン台風の後には、貧困家庭への手当てを厚くすべく政府と取り組みました。

そして、防災や緊急支援に関わる政策決定に子どもたちの意見を反映させること。来月、仙台で第3回国連防災世界会議が開かれますが、将来を担う子どもたちの声に耳を傾け、一緒に防災を考えることで、自然災害に対して「レジリエントな(迅速かつしなやかな回復力のある)」社会を目指します。

ー 日本の民間からの寄付や、日本政府からの資金が、UNICEFのプロジェクトを通じて現地で役立っていると実感した例は?

海水の混じったガザの水の塩分を取り除く装置。UNICEFを通じた日本の支援と一目で分かる。©UNICEF

水質が飲用に適さないパレスチナ自治区のガザでは、日本政府の支援により建設された脱塩化プラントにより、紛争下の180万人に安全できれいな飲み水を供給しました。子どもたちが、水を井戸に汲みに行ったり店に買いに行ったりする必要がなくなり、元気に学校に通う姿を見て嬉しくなりました。

モザンビークでは、日本の生協の協力で、農村部での栄養教育を実現しました。保健員の指導の下、地元の材料で栄養価の高い食事を、母親や子どもたちと一緒に作って食べながら、日本の皆様からの募金の効果を実感しました。

また、ミャンマーでは、イオングループの支援で学校建設が続いています。困難をしばし忘れ、勉強し遊ぶ子どもたちの笑顔を見ると、この仕事をしていて良かったと感じます。

ー UNICEF職員として海外で生活する上で、苦労したことは?

モザンビークで洪水後の支援。©UNICEF

災害直後などは24時間態勢で治安面に気を配りながら働くので、非常にストレスがたまります。また、紛争地や被災地など、不便な場所で生活をすることも。モザンビーク中部での洪水支援の際は、事務所を開設するまでテントで寝泊まりし、川の水をバケツに汲んでシャワーを浴びていました。

 

イスラエルとガザの境でモニタリング。©UNICEF

自分自身の心と体の健康管理には気を使います。シエラレオネの村では、マラリアに倒れました。パレスチナのガザでは、ロケット弾が飛び交う中、気分転換も必要と、同僚たちと15分だけヨガに集中してみたことも。神経質あるいは完璧主義だったら、この仕事を10年以上も続けられなかったと思います。

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根本さんの温厚な人柄と仕事に向き合う真摯な態度には、いつも頭が下がります。これからも安全と健康に気をつけて下さいね!