こんにちは。編集部・川良です。このたび、『幸せ王国 タイ王国』の著者で、台湾在住、数々の著書を手がける青木由香さんが、ミモレ世代に向けて、リゾート旅ではない、ディープな旅のあり方について寄稿して頂きました。
婦人の旅のセレクトは、ついつい癒しを求めてリゾート寄りになりがちですが(笑)、心身ともに本当にリフレッシュできるのはこんな旅なのかもしれません。
『絡み絡まれる旅の面白さ』 青木由香
私が好きで止まない台湾には、お節介な人がたくさんいます。その上、世界でもトップに躍りでるほどの親日国。最近、この二点がじわじわと日本にもバレて、台湾へのリピーターも急増中。普段は、あっさりした人間関係の日本人が、他人とのふれあいで台湾に目覚めてしまう。旅行とは、現地の人とどれだけふれあえたかでぐっと価値が変わるもの。とどまるところを知らないこの台湾人気が、それを証明しているのです。
ところが、「ふれあいの旅を」と思っても、見ず知らずの人にすぐ絡んでいけないのが日本人。小さい時から知らない人とは口を聞くなと言われて育ったんですから、旅に出た瞬間、キャラをぶち壊してフレンドリーになれというのも無理な話。とりあえずは、黙ってても絡んでくるいい人のいる所に行って、まずはふれあう喜びを味わって見るのもあり。
たとえば台湾では、親切な台湾人の中でも抜きん出て面倒見がいい、小高(シャオガオ)という友達をお勧めします。以前、台湾のコーヒー事情を知りたいと私のところに沖縄の人が訪ねてきたことがありました。台湾もコーヒーのサードウェーブがきていますが、私はそれほど詳しくありません。そこで小高。彼はカレー屋ですが、20年くらい前の学生時代に粋なカフェをやっていて、今どきのカフェの若者もみんなが慕っている、台北カフェ周りの事情通。顔の広さは半端なし。適役です。
「この人、カレーだけどコーヒーにかなり詳しいし、親切だからたずねて行けばいいよ」
そう伝えると、私が一報を入れる前にその沖縄の人はカレー屋に行ってしまいました。案の定、小高は、近くのカフェに連れていってくれて、店の人を紹介してくれて、ご馳走してくれて、さらにプレゼントまでくれたと言うのです。完全に見ず知らずの人に、それはもう本当に良くしてくれたんだそう。
ネット上で、日本の人に台湾の日本風のカレー屋(下記、寅楽屋)を勧め、一般の個人である小高(シャオガオ)の人の良さを地球上に広めるなんて、わたしはバカ? この記事を見て世界から見て押しかけたら小高は大変なことになっちゃうので、ここは、皆さんの常識+良心にお願いするとして、私がこんなことを書くのは理由があります。
ちょっと前にタイの本を書きました。私は、台湾に住んでいて台湾の観光がらみの仕事をしていて観光客に観光を促していますが、本の執筆のために、この度タイで逆の立場である旅行者になりました。そんな取材中、はじめはムキになってタイのものばかりを食べていたのですが、途中から取材放ったらかして自分の気持ちに任せてイタリアンや日本食も食べ始めたら、タイ料理は余計に美味しくなったのです。どんなに好きでも、休み休み食べたほうが断然いい。それで「台湾でも台湾のものばかり紹介する必要なかったのか」ということ気づいて、カレー屋だったんです。それで、ここに小高引っ張り出した。
観光客が出没しないところに行けば、旅行者をめずらしがったり、逆に観光客扱いされなかったりする。私も、今までと違った対応を受けて、多角的にタイを楽しめました。横道に逸れる旅の面白さ、人との絡みを激しくお勧めしたいと思います。
そして、タイも台湾に負けじと日本好きで人が物腰柔らかな、微笑みの国。しかも、ものすごい子供を好き。子連れでもとても楽しめました。旅は、食べるか・買うか・どこに行くか、ではなく、「どれだけ人と関わったか」です。飛行機もこんだけ安いんだし、近所のアジアで絡めるこの親日の二国でまずは練習を。お金をかけなくても、みんなが聞いたことないような、自分だけの旅をしましょうよ。
>>次回は、台湾&タイの「絡み絡まれるディープな旅ができるスポット」をご紹介いたします。
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