2016 Oct. 11

秋の靴を探しに
a.testoni銀座本店へ

一生ものは、そんなにたくさんあるものではないと思っています。ただし、もし靴でそれがあるとしたら。a.testoniの、ボロネーゼ製法で作られた靴は、きっとそれにあたるのでは?
と、長年思い続け、さらにイタリアに出張に行った際も、ストアで試着させてもらいながら、なかなか購入に至らなかったのですが、先日、いよいよ銀座本店へ行ってまいりました。1階がメンズ中心。2階には、極上のレザーを使用したレザーのジャケットも、もちろんウィメンズのシューズやバッグも。落ち着いたストア内には、私が到着したときには、お年を召したジェントルマンがお1人。

何とはなしに耳に入ってきたのが、「僕の靴は、ほとんどこちらのだから」と。思わず足元に目をやると、柔らかそうな、そして足をゆったりと包み込む、艶やかなレザーのレースアップシューズ。「銀座の街を歩くとね、ヨーロッパの石畳みたいでしょう。ここの靴じゃないと、疲れてしまうんですよ」銀座の老舗の大旦那か、もしくは夜を楽しむ紳士か。なんだか、銀座の靴屋さんならではの上品で色っぽい会話だなあ、なんて思いながら、ちょっと嬉しくなりました。

スタッフの方と相談をし、やはり、このブランド独特の「ボロネーゼ製法」で作られた1足を試着させて頂くことに。「ボロネーゼ製法」。以前イタリアのストアでお互いたどたどしい英語で会話したときの説明の、ようやく答え合わせができました(笑)。「アッパーの下に、とても柔らかなキッド素材を使ったソックスのような袋が縫い合わされているため、包み込まれるような特別なフィット感とソフト感を実現する方法」

バーガンディ色の、カッターシューズが気になり、試着させて頂くと。お客様がいらっしゃらなかったので、撮影も許可していただきました。誕生日会が続いた後の、私のむくんだ足に、吸い付くような履き心地。「これは、初体験です」と思わず言ってしまいましたが、履いたそばから、足と一体化するような、例えばレザーの縁や縫い目などの存在が一瞬わからなくなるほどの、一体感。まるで裸足で歩いているようですが、そうでないことが辛うじてわかるのは、足の裏への衝撃がかなり柔らかくなっているから――。す、すごい。イタリアで試着した時を上回る感動。うわあ。と思いましたが、やはりプライスもありますので、何度も店内をぐるぐると悩みながら、1度考えさせていただくことに。

と、その後も考え続け、冒頭の感想に至ります。

うーんうーん、と今も考え続けていますが。きっかけを探しているだけかもしれません。

装いを、そして行く場所を「秋」にしてくれる1足。みなさまは、もう手に入れましたか?

大草 直子

  • こちらが、噂のバーガンディ色の1足。細身で柔らかなのに、しっかりと意思の強さがある佇まい。まあ、目指す婦人像に似ている、とまたもや感激。シューレースに至るまで、上質なレザーが使用され、きっと履くごとに、その味を深めていくんだろうな、と思います。
  • ボロネーゼ製法は、このように、ほとんどが職人さんの手によるもの。手の温もりと、データだけではない、勘やセンスが息づく、「呼吸する靴」「履く人と1つになる靴」は、このように生まれます。
 
CREDIT :

ニット/ギャルリー・ヴィー
スカート/シーズン スタイル ラボ