こんにちは、編集・川端です。
吉田修一さんの原作を読んだ時から、映画化されないかな、されたとしたら疑惑の3人の男は誰がいいかなど勝手に想像していた『怒り』。念願の映画化、やっと観てまいりました!

(C)2016映画「怒り」製作委員会

今年一番、というかここ5年くらいで一番、心を揺さぶられた邦画でした。ぜひみなさんにも映画館で観ていただきたいと強くオススメしますが、2時間半、ずっと痛い、ずっと辛い映画なので、どうぞ気力・体力ともに万全の時に……。ホッとするシーンゼロ。あ、沖縄の海がキレイだな、くらいでしょうか。(でもそれも光と陰のコントラストを強める演出でもありそうです)

文庫本の書影も映画バージョンに。読んでから観ても、観てから読んでも良いかと。『怒り』吉田修一(中央文庫・上巻)¥648
本を読んだ時は、映画で森山未來くんが演じる沖縄の男の役は、山田孝之くんがいいと思っていたのです。でも、森山未來・松山ケンイチ・綾野剛でしか成立しなかった、絶妙な3人のキャスティング。なぜ山田孝之くんでは違うのかは映画を観るとわかります。『怒り』(同・下巻)¥648

八王子で起きた夫婦殺害事件。現場には血で書かれた「怒」の文字。犯人は逃亡を続け、行方不明のまま。事件から一年後の東京、千葉、沖縄に住む正体不明の男性3人、それぞれと彼の周りの人々を描きます。

ストーリーの軸は、3人のうち誰が犯人なのか?というミステリーなのですが、見どころは、3人のうち2人は犯人ではないのに、「もしかして?」と思ってしまう瞬間、信じたい気持ちを疑わしさが上回ってしまう、彼らの周りの人の痛みにありました。

作中、いろんな人のいろんな「怒り」が出てくるのですが、どれも怒りの矛先はあるけど、どこに向けたらいいのかわからない。結果、怒りの矛先が自分の方へ向かって爆発してしまう……。

出演者全員が上手くて全力を出し切っていて、圧巻の一言です。特に、宮崎あおいちゃんと広瀬すずちゃんの役は、原作からすると二人が可愛すぎて純白すぎてちょっと無理があるのでは?と思ったのですが、そこを塗り替えて説得力がありました。

映画を観て、岡本太郎さんの名著『美しく怒れ!』のことを思い出しました。空気を読むこと、炎上しないことが大事にされる世の今(書かれたのは1998年ですが)、憤り、傷つき、自分をごまかさない、岡本さんの言葉に強く鼓舞されます。

映画は劇場でぜひ!! そのあとのご予定がない日をオススメします。

ではではまた〜。