2017.2.28

ラッピングの小宇宙

中野にある日本茶専門店OHASHI(オーハシ)のギフトボックス。いただいた時、思わず「可愛い!」と声を上げてしまいました

最近、贈り物をいろいろいただく機会があり、そのたびにラッピングの素敵さに感動していました。

センスがいいだけでなく、作り手の思いが見えるようなものが多かったからです。

相手に敬意をはらい、礼を尽くす気持ちや、もてなしの心を、包むという表現で表す日本の伝統を改めて思いました。

素敵なラッピングは、包みを解かずにしばらく眺めていたくなります。

外側と、蓋を開けたときの中の世界観が響きあい、ひとつの小宇宙のように立ち昇ってくるのを楽しみたいからです。

「包む」の包という漢字は、胎児を子宮につつみこんで身ごもるさまを表しています。

包むという行為自体に、ものを大切に、ていねいに慈しんで扱う、という意味があるのですね。

わたしの好きなラッピングをいくつかご紹介しましょう。

OHASHIのギフトボックスの蓋を開けると、こんな感じ。和のお茶があくまでフレンチなパッケージに包まれ、店の外観も内装も、パリの雑貨屋さんのよう。他にも可愛いギフトボックスや瓶入りのものなどお茶の種類も豊富。もちろん味も美味しい、夢の国。 
浅草、東麻布、銀座松屋にあるお菓子工房ルスルスの「鳥のかたちクッキー」。掌サイズの銀缶に濃紺の細いリボンがストイック。味も優しく丁寧に作られている。白い星だけの「夜空缶」とともに、どちらもまるで食べる詩集
京都で200年の歴史を持つ老舗扇店、坂田文助商店の扇の包みは、和紙を用いた日本の伝統文化である折形。折形は平安時代、朝廷の進物所からはじまり、鎌倉幕府の進物奉行、室町幕府の折紙方、江戸時代の伊勢流礼法まで、各武家や流派で、薬からお金までさまざまな包み方が考案された。やっぱり日本人は細かい手技好き。美意識ここに極まれり、ですね
幸田文はエッセイ集「包む」のあとがきで、今ではほとんど聞かれなくなった「何をお包みいたしましょう」という言い方を懐かしみ、その言葉を掛けられると安心する、と書いている。白い掛け紙でふわっとくるまれた経木を風呂敷で包み、そっと両手で捧げて帰ってくれば「ほんとうにいいものを大切に包んで持っているという気がして嬉しかった」と。写真は料理家の長尾智子さんが運営する、スープ皿と食卓まわりのオンラインショップSOUPsの包み。梱包資材を用いたシンプルモダンなラッピングだが、丁寧に包まれた薄紙の中から顔を出す皿やカトラリーには、大切に扱われてきたものだけが持つオーラが宿り、良い買い物をした深い満足感を得る
ボンマジックの白井成実さんがデザインするジュエリーの新ブランド、インモノクロームのパッケージは、職人によって一つ一つ手で打ち出される銀色の小箱。熨斗のような白い紙が掛けられ、中には純白の真綿にジュエリーがくるまれて…。モダンさと和の心がボーダーを越えて混然一体となり、グラデーションに染められたやわらかな紐が、モノクロームの天空を駆け巡る龍の姿にも見えてくる