光野桃「美の眼、日々の眼」

2017.10.3

蟹パスタ、うにパスタに感激! 初秋の根室に旅してきました <前編>

花咲ガニがまるまる一つ載った「蟹のトマトクリームスパゲッティー」すごい迫力! 根室市内のイタリアンレストラン「ボスケット」にて。

なぜいま根室へ?

初秋の根室へ旅してきました。
そう言うと、皆が不思議そうな顔をして尋ねます。なぜ? 何かあるの?

よほどイメージが合わないんだなあ、と苦笑しながら、でもさだかな答えはなく、直観で、としか言いようがありません。

今年は夏に、かつてない夏バテをして体力に自信をなくし、仕事もなにかと忙しかったのですが、そんなとき、あるインスタグラムで幻想的かつすこやかな、見たこともない根室の大自然の写真を見つけたのです。

人のいないそのまんまの大自然の中に身を浸して、大きく空に手を伸ばし、ギャーとかアアアーとか叫んでみたい!

そんな本能に導かれて、はるばるやってきたのでした。


憧れの花咲線に乗って

車両は一両の小さな電車、花咲線の各駅停車です。純白のボディに水色の花が描かれて可愛い。
座席には地域の動物などがプリントされています。

根室には、花咲線で行きたい、というのが願いでした。ローカル鉄道が大好きなのに、なかなか乗る機会がありません。

前日に釧路まで飛行機で飛び、空港からJR駅前のビジネスホテルに移動。翌朝8時18分の電車に乗り込みます。

いるいる、カメラ抱えたテツの方々が。心のなかでそっと会釈し、進行方向右側の席に座りました。

バスみたいな音と動き方をしながら花咲線が駅を出ていきます。太平洋側の海沿いを通る2時間半ほどの旅が始まりました。

車窓からの風景は森森森湿原牧場ときどき海、そしてまた森。植生が本州とまったく違い、まるでノルウェーの森、と興奮(行ったことないけれど)。 高低差のない美しい森に幻惑させられ、アドレナリンがどんどん上がっていきます。山にはよく行っていましたが、ああ、自分は高低差が苦手だったのだ、と発見。


まるでデレク・ジャーマンの庭!?

根室駅は思いのほかこじんまりとしていて観光客もおらず、ちょっと不安になるくらいです。

ところが、電車から一歩外に降り立った瞬間、身体がふっと軽くなるのを感じました。気がつくと、腰痛も消えているではありませんか! これはいったい…。

東京では感じたことのない元気が体中に充満しています。

とりあえずお腹もすいたので、レンタカーを借りてランチへ向かいます。予約してあったイタリアンレストラン「ボスケット」へ。

駅からさほど遠くないというのに、見渡す限りの平原の中にその店はありました。

ひゃ~、ここすっごいね、この荒涼感、まるで嵐が丘みたい、いや、デレク・ジャーマンの庭amazonはこちら)そっくり、と一人興奮。

曇天の下、どこまでも続く平原。ヒースクリフが現れそう。イタリアンレストラン「ボスケット」の庭。
お店は温かい木の感じで、感じの良いご夫婦が営んでいらした。
わたしは大好物のうにクリームパスタを。うには東京のように臭くなく、ほの甘くて新鮮。しかもこんなにたっぷり(泣)


激しい自然にじか当たり

ランチを終え、雨の中、根室半島南端、花咲岬突端にある花咲灯台へ行ってみました。

日本の灯台50選にも選ばれているという瀟洒なたたずまい。根室には可愛い灯台がたくさんあり、灯台好きにはたまりません。灯を求める虫のごとく、気がつくと近づいて行ってしまいます。

白と赤のコントラストが雨の中でもすっきり。

強風で傘もさせず、ひともおらず、海は荒れて、大自然の力強さにおののきます。

が、その中に身を晒していると、身体や脳に溜まったゴミが、海風に一気に払われていくかのよう。

寒い! でも、清々しい。これを求めていたんだな!

悪天候の中でも、腰は軽く、いつもよく動かない脚もスタスタと歩いています。丹田にエネルギーが満ちているのは、さっきのパスタのせいかしら?

それもあるけれど、それだけじゃない。身体が新しいエネルギーの中で生まれ変わったかのようです。

翌日、朝まで降り続いた雨はやみ、見事な快晴となりました。晴れるとまるで別の世界が出現するのですね。

そして身体はさらに不思議な感覚を覚えはじめていました(後編につづく)。

オホーツク海側を納沙布岬へ向かって走る。草原、吹きつける風、なだらかな坂道はアイルランドとよく似ています。車がまったくおらず、遠くまで見渡せるのが気持ちいい。この道の途中で、ある川に行き当たります。そこでわたしが感じたものとは? 来週をどうぞお楽しみに!