光野桃「美の眼、日々の眼」

2017.10.17

乾燥は運気を落とす!? 秋の養生と暮らしのコツ

 

秋の養生、まずは消化力を取り戻そう

すっかり秋めいた日が続いていますね。

今は二十四節気の「寒露」と呼ばれる季節。まだ暖かさもあるけれど、朝露に触れると思わずその冷たさに驚く…そんな秋の最後、11月7日の立冬まで続く季節の変わり目です。

昔の養生訓などに書かれていないことのひとつが、夏の酷暑。だれがここまで亜熱帯になる日本を想像できたでしょうか。

暑さと湿気をなんとか通り過ぎてきた今年の身体は、かなり疲れているはずです。だからこそ、冬になる前に消化力を整えておきたい。

最近の夏は、冷房や食べ物で冷えを呼んでいると感じます。まずは身体を冷やす食べ物を控え、胃腸の疲れを取りましょう。

小麦粉、砂糖、乳製品を少し控え、白湯を飲んで体を温めます。

わたしは、食べたものが完全に消化してから、次の食事をするように心がけて、夏バテしていた体調がぐんと回復しました。

家族との暮らしでは食事時間が決まっていて、なかなか思うようにいかないかもしれませんが、お腹が完全に空っぽになる前に少量でも食べてしまうと、消化され切らないものが体に負担をかけるのです。

今日から秋の土用に入る10月20日までの3日間だけでも、過食を控え、冷えを取り、消化力を回復させるように暮らすと、冬に風邪を引きにくくなるでしょう。


すべからく「乾燥」は運気を落とす!?

古代中国に起源をもつ陰陽五行説では、秋は乾燥の季節と言われています。

実際それを感じますが、身体の中にも乾燥は及び、肺や大腸に悪影響を与えるという説もあります。

食事も、乾燥を防ぐ水気の多い、やわらかな、またぬめりのある食材で、煮物などを献立に取り入れるのがオススメです。

秋の五行の色である白の野菜、大根やカブなどをお出汁で炊いたり、青菜をおひたしにしたり、白ネギや蓮根も呼吸器の働きに効果があるとされています。

そして揚げ物や焼き物は少し控えると、身体の内側にも瑞々しさが満ちてきます。

先日、手相を勉強し始めたという友だちに頼まれ、掌を見せたときのこと。

あらあら、乾燥しちゃってる、これじゃ手相は見られないわ、と笑われてしまいました。

彼女の言うとおり、よく見ると、何か所か白っぽくかさついているところがあります。

掌がべたべたするのが苦手で、ハンドクリームは甲と甲とを擦り合わせて終わっていたのですが、年齢とともに掌側も乾燥するのだと知り、愕然としました。

「乾燥は諸悪の根源、乾燥していたらそれだけで運気が下がるのよ」という彼女の言葉もなんとなくうなずけます。人間は羊水のなかで命を育まれ、生まれ出てからも、ほとんどが水でできている生きものですものね。

その夜、家に帰り、手の裏表をしっかりマッサージ。潤いが戻り、血行が良くなって、いい香りとともに幸せな気分になりました。


ちょっと待て!そのバタバタが「不安」呼ぶ

そして秋は結実の季節。太陽の光である陽の気が弱まり、陰の気が勢いを増すとともに、上へ横へと延び広がっていた植物も、身を引き締めて実りを迎えます。

つまり、内側に籠る時期、という気の流れなのです。

静かに読書をしたり、手紙を書いたり、関節を柔らかくするストレッチなどじっくり時間をかけて行うことにふさわしいのが、秋。

とはいっても、忙しい暮らしに追われて、思うような静かな時間はなかなか取れません。

でも、人間は意識するだけで変わるもの。わたしは、焦りそうになったり、バタバタと駆け出しそうになるとき、ちょっと待て、と自分に声をかけるようにしています。

特に秋は「憂」に注意せよ、と五行論でも説いています。

バタバタと焦ったり慌てたりすることが多くなると、心も落ち着かず、不安を増幅させるような気がするのです。

実際、自分が慌てているほどには、相手も状況も慌てていない、というのが長年、生きてきて得た教訓です(笑)

よく晴れた朝、少しだけ外に出て、清明な空気を深呼吸。お腹がペタンコになるまで息を吐きだす腹式呼吸を3回繰り返して、そのあと肩と肩甲骨を回します。

気持ちが落ち着き、1日が気分よく、明るくはじまります。

ただし、貝原益軒先生も「養生訓」のなかで述べていられるように、涼やかな風が気持ち良くても、秋の風はあまり当たりすぎるとよくないよう。温かくして外に出ましょう。

今年の秋の土用(季節の変わり目)は、10月20日から立冬前11月6日までの18日間です。冬に向かうこの時期の過ごし方はとても大切。

どうぞ養生を楽しみながら暮らしてください。

美しい紅葉まであと少し。楽しみですね。