新たにスタートしたカテゴリー「社会の今、未来の私」。
毎回、各業界の識者やコラムニスト、世界のニュース記事による、ミモレ世代が知っておきたい「社会の今」を配信いたします。
初回は、世界各国のメディアから最良の記事と、独自のオリジナル記事を配信するグローバル・マガジン「クーリエ・ジャポン」から「これからの教育」についての記事をご紹介します。

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うちの子供は、どうすればもっと賢くなるのだろうか。子供の才能を見つけて、それを伸ばすには、何をすればいいのだろうか。そもそも英才教育って、熱心に取り組むべきことなのか──。

そんなことが気になる親にとって、傾聴に値する研究が続々と発表されている。
 

「生まれか育ちか」論争の終わり


膨大な「天才研究」の成果をまとめて世界的ベストセラーとなった『天才を考察する』という本がある。

著者のデイビッド・シェンクは、同書で「天才児を産むのは、遺伝子と環境の相互作用である」と主張。「生まれか育ちか」論争に意味はなく、親が適切な教育を施すことで子供の才能を伸ばすことができる、と説いたのだ。

「誰にでも天才になるポテンシャルはある」と書くシェンクは、マイケル・ジョーダンからモーツァルトまで多彩な天才の「育ち方」を紹介することで、自らの主張を裏付けている。

さらに、米国には、群を抜いて優秀な子供たち5000人の人生を45年にわたって追跡してきた「SMPY」(「早熟な数学的才能を示す児童の研究」の略語)という研究がある。この研究も、「『賢い子』を『育てる』ことができる」という議論の助けになるという。

ヴァンダービルト大学の研究者カミラ・ベンボウは、1971年に始まったSMPYに1976年からかかわってきた。彼女は現在、心理学者の夫デヴィッド・ルビンスキと共同でSMPYの運営を指揮している。

どうすれば優秀な子供を見つけだし、その優秀な子供の才能を開花させることができるのだろうか。ベンボウは長年、それをテーマに研究を続けてきた。

米国では、知的能力が突出して高い児童を「ギフテッド(天才児)」と呼ぶ。そんな天才児たち数千人を追跡調査した結果、次のことがわかったという。

ベンボウは、「全米ギフテッド教育協会」のインタビュー(下動画)で、こう述べている。

「知的に優秀な子供に対し、その才能が伸びるように教育的な介入をすると、介入しなかった場合とくらべて、大人になってからの職業上の業績、幸福度、クリエイティビティ、収入など、数多くの点でプラスの効果が出ることを検証できました」

数千人を45年も追跡し、教育の効果を検証する研究はあまりない。そんな研究で英才教育の効果が示されたというのだから、これは注目すべき価値があるといえそうだ。

だが、ベンボウはこう釘をさす。

「自分の子供を天才に育てようとするのは、どんな親にもオススメできません。そんなことをすると、子供の社会性や心などに、いろんな問題が出てくることがあります」