脳梗塞、転倒…介護は突然やってくる


では介護サービスというのは具体的にどのようにして受けるものなのだろうか。

介護保険を使ったサービスを受けるためには、まずは要介護認定を受ける必要がある。これがないと、そもそも制度の利用ができないので、何はともあれ、要介護認定を受けることが先決である。要介護認定の申請は、住んでいる市区町村の窓口で行うが、本人が申請できない場合には家族による申請も可能となっている。

この手続きについては各市区町村に設置されている地域包括支援センターでも行ってくれるほか、病院のソーシャルワーカーが支援することもある。

そろそろ介護が必要になってきたので申請をしたいということであれば、市区町村の窓口や地域包括支援センターに相談ということになるが、徐々に体が動かなくなり、介護を検討するというケースはそれほど多くない。

脳梗塞で倒れて入院し、回復を果たしたものの一部にマヒが残り、そのまま介護に移行する、あるいは、転倒してケガを負い、体の自由が効かなくなって介護に移行するなど、入院がきっかけとなるケースが意外と多い。

 

脳梗塞やケガは突然やってくるので、ゆっくり準備することができない。この場合には、病院のソーシャルワーカーとやり取りしながら要介護認定の申請を行うことになるだろう(少し話はそれるが、脳梗塞になった場合、家族が迅速に発見できるようにしておくことや、転倒しないよう日常生活を工夫することも介護リスクを減らす重要な対策といえる)。


介護認定を受けるまでの1カ月をどう乗り切るか?


申請が受理されると、ケアマネージャーなどが訪問し、生活状況などについて聞き取り調査を行う。その後、かかりつけ医による意見書が提出され(入院している場合は主治医の診断書)、これらをもとに要介護レベルが判定される。

要介護認定が行われるまで、2週間から1カ月の期間が必要となるので、この間の生活をどうするのかについては、事前にしっかり考えておいた方がよい。

要介護レベルが決まり、担当のケアマネージャーが付いてようやく介護サービスを受ける準備が整う。どのような介護サービスを使うのかといった、いわゆるケアプランを作成するのはケアマネージャーの仕事であり、これがその後の生活スタイルを大きく左右する。

よい介護を最適な費用で受けるためには、ケアマネージャーとの良好なコミュニケーションが何よりも重要となる。どのような支援があり、費用がどの程度かかるのかなど、納得できるまでケアマネに質問し、よく理解した上でサービスを使う必要があるだろう。

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加谷 珪一/経済評論家
1969年宮城県仙台市生まれ。東北大学工学部原子核工学科卒業後、日経BP社に記者として入社。野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当。独立後は、中央省庁や政府系金融機関など対するコンサルティング業務に従事。現在は、経済、金融、ビジネス、ITなど多方面の分野で執筆活動を行っている。著書に「新富裕層の研究-日本経済を変えるあらたな仕組み」(祥伝社新書)、「お金持ちはなぜ、「教養」を必死に学ぶのか」(朝日新聞出版)、「お金持ちの教科書」(CCCメディアハウス)、「教養として身につけたい戦争と経済の本質」(総合法令出版)、「億万長者の情報整理術」(朝日新聞出版)などがある。