世界でも類を見ない高齢化社会を迎えた日本では、今後、介護の問題がより深刻になってきます。自身が介護されることを気にする年齢に達した人はもちろんのこと、人によっては、40代に入ると親の介護が現実的な段階に入り始めます。

介護については漠然とした不安を抱えている人も多いと思いますが、日本には不完全ながらも公的な介護保険制度があります。平均的な経済力を持つ人であれば、(制度が存続している限り)介護によって家計が破綻する可能性は低いと考えてよいでしょう。したがって過度に不安を持つ必要はありません。

 

しかし、介護制度についてよく知っておかないと、思わぬ出費を招く可能性もありますから、事前の準備が何よりも重要となってきます。

では、介護サービスというのは具体的にどのようにして受けるものなのでしょうか。介護保険を使ったサービスを利用するためには、まずは「要介護認定」を受ける必要があります。これがないと、そもそも制度の利用ができませんから、何はともあれ、まずは要介護認定を受けることが先決です。

要介護認定の申請は、住んでいる市区町村の窓口で行うことになりますが、本人が申請できない場合には家族による申請も可能です。また、一連の手続きや制度に関する相談などは、各市区町村に設置されている地域包括支援センターでも行ってくれます。自宅付近にある相談センターはあらかじめチェックしておいた方がよいでしょう。

介護というと、徐々に体が動かなくなり、やがて介護サービスを検討するというイメージを持つ人が多いかもしれませんが、このようなケースは実はそれほど多くありません。脳梗塞で倒れて入院しそのまま介護に移行する、転倒してケガを負い、そのまま介護にシフトするなど、病気やケガがきっかけとなるケースが少なくないのです。

病気やケガは突然やってくるので、ゆっくり準備することができません。こうしたケースでは、病院のソーシャルワーカーとやり取りしながら要介護認定の申請を行うことになります。「介護は突然やってくる」ということを、ぜひ頭に入れておいてください(そうであればこそ、日頃の情報収集が大事なのです)。

要介護認定の申請が受理されると、ケアマネジャー(ケアマネ)などが訪問し、生活状況などについて聞き取り調査を行い、要介護レベルが判定されます。要介護認定が行われるまで、2週間から1カ月の期間が必要となるので、その間は、自力で要介護者の世話をしなければなりません。この間のケアをどうするのかについても、事前にしっかり考えておいた方がよいでしょう。

要介護レベルが決まり、担当のケアマネジャーが付いてようやく介護サービスを受ける準備が整います。

具体的な介護の計画(いわゆるケアプラン)を作成するのはケアマネジャーの仕事です。よい介護を最適な費用で受けるためには、ケアマネジャーとの良好なコミュニケーションが何よりも重要ですから、支援内容と費用について納得できるまでケアマネに質問し、よく理解した上でサービスを使うようにしてください。

 
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