ガガには、(良い意味で)我がない。
ガガ二ハ、ガガナイ……

と、これが言いたかったがためにこの文章を書きたかったような気がしますが(笑)、ガガは女優業の時は“郷に入れば郷に従える”というのでしょうか。表現力、歌唱力、そして何より作品に寄り添える力がある。一方、マドンナは、表現力、歌唱力はあるものの、作品に寄り添うのではなく、どうしても作品を自分に引き寄せてしまうところがある。

そして、ゲイフレンドリーで知られる両者ですが、「私も含め、人間は誰だって弱い生き物。だから、一緒にがんばりましょう」と立場が弱い人に寄り添う姿勢を見せ続けるガガに対し、「私はこう。だから、あなたたちも強く生きるのよ」と鼓舞するのがマドンナのスタイル。一見、似ているふたりですが(過去にガガは、マドンナとの共通点を「2人ともイタリア系アメリカ人で、ニューヨークのアンダーグラウンドシーンから出発し、髪をブロンドにして有名に。大胆で、図太い神経の持ち主だと思う」と語っている)、本質的には実は正反対のような気がするのです。

難病と闘いながらスーパーボウルのハーフタイムショー(米国のショービズ界においてアーティストが目指すひとつの到達点ですね!)出場までの軌跡を追ったNetflixドキュメンタリー『レディー・ガガ: Five Foot Two』に映し出された心細そうなガガに、絶対に自分の弱い部分を晒さないマドンナを対比させると、私の考えは確信へと変わるのです。

映画を観たら、こちらも是非観て欲しい。表現者として脱皮し、自身のキャリアの見事な第2章をスタートさせたガガの生みの苦しみを覗き見られるので、スターになった人間に課される精神的過酷さがよく分かります。というわけで、映画のもうひとりの主役ブラッドリー・クーパー演じる世界的ロックスターの気持ちもより理解できるようになるかと思います。

深い関係へ飛び込むことに臆病になっていたふたりが劇中で歌うデュエット曲『Shallow』は、「Shallow(浅い)な関係では嫌」と、男女が互いに一歩踏み出そうとする恋心を歌うラブソングです。「アリーは私自身」と語るほど自分と役柄をシンクロさせたガガが歌うこの曲は、難病と闘い、1年間音楽活動の休業を経て完全復活を果たしたガガ自身とも重なり、劇中でとてつもないパワーを放ちながら私たちに訴えかけてきます。「浅いところで安住していてもいいけれど、飛び込まないと観られない景色、得られない経験、味わえない感情があるのよ」と。何かにつけ躊躇しがちで臆病になってしまう私たちに向けた、寄り添い型の歌姫・ガガからの優しい問いかけなのかもしれません。

サウンドトラックの中におさめられたガガとクーパーが歌うリードシングル『Shallow』は、世界76の国と地域のiTunesシングル・チャートで1位を獲得。


先日紹介した『ボヘミアン・ラプソディ』と同様に、誰が見ても楽しめる作品に仕上がっております(レディオ・ガガからのレディー・ガガ笑!)。今までガガに興味がなかった人にも「観て!」と素直にオススメできる今作。ラブストーリーとしてはもちろん、人生に立ち向かう人間を描いた物語として鑑賞しても、「本当にベタ! 気持ちいいまでにベタ!! 非の打ち所のないベタ!!!」なので、斜に構えず満喫すればかなりの充足感を間違いなく味わうことができます。

2019年を新しい気持ちで迎えたい方、新たな一歩を踏み出す勇気が欲しい方は、ぜひ映画館へ。そして、願わくばガガの歌声が堪能できるiMAXシアターへ!!

 

今日のお品書き
「白ボトム」を使った着回しを提案してくれているモデルの六夏さん本日公開の全身白のコーディネイトも本当に可愛い♡ 買い物で失敗しないようにするためのコツも伝授していただいていますので、財布のひもが緩みがちになるセール前に是非ご一読を!

 
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