お二人にとって初の顔合わせとなった、記念すべき対談企画もいよいよ後編へ突入。スタイリングを通して伝えたいメッセージや40代のおしゃれ、これからの人生でトライしたいことなど、ますます白熱するパワフルなトークにぜひ耳を傾けて。

風間 ゆみえ 1971年生まれ。スタイリスト。多くの女性ファッション誌で活躍し、近年はブランドディレクション、バイイング、商品プロデュースなど、その活動の幅を多方面に広げている。著書に『LIKE A PRETTY WOMAN』、『Lady in Red』など。
大草 直子 1972年生まれ。大学卒業後、婦人画報社(現ハースト婦人画報社)に入社。雑誌「ヴァンテーヌ」の編集に携わったのち、独立。新聞、カタログを中心にスタイリング、エディトリアルをこなすかたわら、広告のディレクションやトークイベント出演、執筆業にも精力的に取り組む。2015年1月よりWEBマガジン「mi-mollet(ミモレ)」の編集長、2018年7月には、ミモレのコンセプトディレクターに就任。 近著に 『大草直子のSTYLING &IDEA』(講談社)がある。プライベートでは3児の母。


2人が大切にしているスタイリングの
ポイントとは?


大草(以下、大):私はゆみえさんの“どこか湿度を感じさせるようなスタイリング”が好きだという話を前編でしていました。でもそれは、あくまで私個人が感じていること。実際にゆみえさんが服をコーディネートされるときには、どんなことにこだわられているんですか?

風間(以下、風):私たちが誰かを見るときに目にしているものって、目に見えている服だけではないですよね。その人がまとっている空気感のようなものも合わせて感じ取っていると思うんです。だから私がスタイリングをするときには、単にコーディネートだけでなく、着る人の生活背景や服を着るシチュエーションなどもイメージするようにしています。たとえば、こういう服を着る人はどんな薫りをつけて、どういうランジェリーをまとっているのかなとか。せっかく素敵なドレスを着ているのに、中によれよれのランジェリーをつけていたら悲しいでしょう(笑)。そういう具合に、ただ服の組み合わせを構築していくというのではなく、女性像そのものを作り上げるような感覚でコーディネートをしていますね。

「今日の撮影のために、ゆみえさんはコーディネートを何体も用意してきてくださいました。それは多分、私の服とのバランスやスタジオの空気感、カメラマンのライティングなどを総合的にみて判断しようという思いから。時間がかかるし荷物も増えることなのに、面倒くさがらずに手をかける姿勢。そこにプロ意識を感じて、やっぱりすごいなあと思ってしまいます」という大草さんに、「私、優柔不断なんです(笑)」と返す風間さん。


大:そうか、やっぱり。だからゆみえさんのスタイリングには、女性らしい潤いが感じられるんですね。

風:それを狙っているわけではないんですが、そう言っていただけると嬉しいです。大草さんのスタイリングのポイントはどんなことですか?

大: スタイリストというのは、服を媒介にして、メディアやブランドと読者とを繋げるという役割を持っていますよね。私の場合はとくに原稿を書くこともあって、メディアやブランドが発信したいことが読者にきちんと伝わるように、言葉で説明できるようなスタイリングをするよう心がけています。実際、自分に服のセンスがあるかといえば、ないことはないだろうけれど、ゆみえさんのように卓越したものはないだろうと自認していて。でも、読者の方に喜んでいただける点があるとしたら、それはビジュアルに、服や着こなしを説明する“言葉”を加えているところだと思うんですよね。

風:確かに大草さんの言葉にはどれも説得力があって、聞いていて本当に分かりやすいですから。私も今日は目からウロコが落ちてばかりです(笑)。

大:いえいえ(笑)。では、ゆみえさんがスタイリングを通して読者の方々に伝えたいメッセージとは、どんなことですか?