【サブカル男子】生き残り、星野源という存在


この現象は18年の暮れに急に起こったことではなく、徐々にできあがっていたものです。『花男』こと『花より男子』に追いつけ追い越せ的な勢いだった『逃げ恥』こと『逃げるは恥だが役に立つ』(16年、TBS)での新垣結衣演じるヒロインの相手役は星野源。彼が演じる、ちょっと変わり者で女性経験はないものの仕事のできる清潔感のある男子キャラは愛されました。彼ももともとイケメン枠というより音楽才能枠であったし、俳優としては大人計画をはじめとした舞台で笑いのある芝居をやっていました。少なくとも、メンズノンノモデルやテニミュやマントが似合う演劇男子、少女漫画の相手役【スイーツ男子】、はたまた肉体派の【エグザイル系】ではありません。音楽と笑いが彼を唯一無二の存在にします。それが花開いたのが音楽バラエティー『おげんさんといっしょ』(NHK)でしょう。そんな、絶滅しかけていた【サブカル男子】最後の生き残り、朱鷺みたいな貴重な存在である星野源が、新しい時代の恋や結婚の形を描いたドラマを面白くしました。

また、14年、『昼顔〜平日午後3時の恋人たち〜』(フジテレビ)で上戸彩演じるヒロインが不倫する相手を演じた斎藤工は、メンノンモデルからはじまってテニミュにも出て、コツコツとイケメン登竜門に関わってきて、ついに『昼顔』の昆虫好きの不器用で生真面目でなんの変哲もない白いポロシャツを着ている教師役でブレイクします。この役、単に素敵な人というより、ちょっと面白い人だったことも重要ポイントでした。色っぽいイケメン代表のように見られる一方で、斎藤工もまた笑いに挑んでいきます。サンシャイン池崎の完コピをしたり、『MASKMEN』では野性爆弾くっきーのプロデュースでマスクをかぶって誰だかわからない役を演じたり。イケメンの賞味期限は短いと未来を見据えた活動のようで堅実的です。