韓国で、Escape the corsetという動きが広まっているそうです。韓国人女性Bae Linaさんが投稿した「私は綺麗ではありません」という動画では、すっぴんからメイクをしていく過程で「肌が汚い」などの暴言が吐かれる様子が描かれ、美しく化粧をした後も「メイク上手」というポジティブな投げかけは一瞬だけで、今度は「厚化粧」などの言葉が投げかけられます。

馬鹿馬鹿しくなって…なのか、Linaさんは完成したメイクを自ら取ってしまう。すっぴんに戻って微笑み、「メディアのイメージと自分自身を比べないで。あなたの存在そのものが特別です」といったメッセージが流れるもので、この動画が拡散されています。

CNNなどの海外メディアでは、韓国では美容整形もさかんで、「美しさ」の基準がどんどんエスカレートしていることと、化粧をしないと外に出られない、毎朝2時間かけてメイクをしていて睡眠時間を削っているといった女性の話が紹介されていました。

完璧な美しさじゃなきゃだめ?男性が好きな女性像に合わせる必要なんかない!といった疑問や化粧品を放棄する写真がSNSで飛び交い、髪の毛を短くしてすっぴんで登校する女子大生の様子もメディアに出ています。

私が以前ミモレで「メイクは絶対に必要?」という記事を書いたときは、「マジョリティは化粧する派かもしれないけど、でもしたくないマイノリティがいてもいいよね」という気持ちで書いたのですが、ある友人から「えー、なんでしないの?絶対きれいになることって楽しいじゃん」というようなコメントがきました。

 

いや、別にあなたが化粧をすること、きれいになること、それで楽しい気持ちになるなら、それは決して止めません。でも相手に「なんでしないの?」「絶対……なはず」と押し付けることこそを、止めてほしい。そう思いました。多様でいいじゃないか、と。

そして、この記事を投稿した後に気付いたことがあります。私が化粧するのがあまり好きではないのは、昔アトピーがひどく、肌の負担になるイメージが強いからかもしれないということです。「化粧しない派」の話を聞いてみると、他にも敏感肌とかアトピー持ちという方がそれなりの数でいることがわかりました。

韓国の事例のように、時間とお金をかけなくてはいけないというだけではなく、人によっては、過剰な美の基準が身体(肌)にとって負担になることもあるのです。

実は、私自身は、年末年始に日本に帰ったときに、周りの友人の美しさや日本のオシャレなお店やファッションに触発され、もうちょっとオシャレしようかな……と思いました。一方、シンガポールに住んでいるとサンダル、タンクトップでウロウロするのも普通。やはりその場が作る「基準」のようなものに人は影響されるものだと思います。

多様性を認めようとは言ってみても、日本や韓国のような均質性の高い社会では、ある程度ムーブメントとしてやらないと過剰になりすぎている「基準」がなかなか変わらないのかもしれません。自発的に「もうちょっとオシャレしようかな」くらいならいいのですが、やはり女性に対しては化粧していないとイジられたり、「お化粧はマナー」というプレッシャーがかかったりしているのも現実だと思います。

だからこそ、まさにコルセット、「そうしなければならない」という世の中の目線を一度脱するための、Escape the corset。いいコンセプトだなと思いました。