そういえば、つい最近、「インスタ映えするお店だったから、今だったらもっと流行っていたかもしれませんね」と言ってくださった方がいる。

確かに、まだスマホがなかった10年以上前に比べて、SNSの発達している今ならもっと宣伝はしやすかっただろう。でも、その分逆にリスクもある。SNSの口コミは好意的なら宣伝効果抜群だが、マイナスの書き込みは店の命取りにもなりかねない。公正な評価ならまだしも、悪意あるイタズラや嫌がらせの書き込みのおかげで、飲食店が閉店に追い込まれることもある時代だから恐ろしい。

まだスマホがない時代。こんなパンフレットも作った。

何度も言うようだが、まったくもって、飲食店経営は楽じゃない!!

投資の回収、経費に売り上げ、従業員の雇用やお客さまの問題。事件、事故、天候に災害、社会情勢。SNSの心配までしなければならないとなったら、ストレスが多すぎだ。

それら全てを背負った上で、ビシバシと捌いていける才覚と経済力と強靭な神経がなければ、経営者にはなれないと思う。

飲食店経営を夢見るみなさん、

それでも、お店……やりたいですか?

 

「Yes!」と答えたみなさんには、最初から自分の店を出すという大きな夢は持たず、まずは地道に、他の店で働いてみることをおススメする。脱サラや定年退職後の第二の人生として、それまでと畑違いの道に踏み出そうとしている方は、特にだ。

まずは飲食店に勤め、お給料をもらって勉強しながら、店の経営実態やオーナーの苦労をつぶさに観察してみるといい。

それでも、「やりたい!」「やれる!!」と思ったら、あなたの夢は本当だ。

次のステップとしては、大手チェーン店などの雇われ店長を目指して、使われる側ではなく、使う側になってみるのもいいかもしれない。自分の懐は痛めずに、他人の懐で経験を積むのだ。

自力で店を経営して行けるだけの器量と熱意が、自分にあるのか。経済的に無理はないか。じっくり、冷静に考えてみるプロセスが必要だ。

人生を賭けるのは、それからでも決して遅くはない

ちなみに、うちの店の歴代マスターおふたりは、その後ご自分の店を出したが、いずれもすぐに閉店してしまった。

他の店である程度経験を積んでからでさえ、自分の店を成功させることは難しいのだ。

素人がいきなり店を出すことが、どれほど無謀なことかは、おわかりいただけると思う。

夢を持つことは素晴らしい。

だけど、夢を「現実」にするためには、越えなければならないハードルが無数にあり、夢が「現実」になった後も、戦いはずっと続くのだ。

*       *       *

勢いと行動力だけで突っ走って失敗した、私のへっぽこカフェオーナー体験。

少しでも、お役に立てたでしょうか?

それでは、

「お前が言うな!」とツッこまれるのは承知で、最後にひと言。

みなさま、どうぞ慎重に。

あなたの夢を応援してます!

「飲食店経営地獄シリーズ」折原さんの過去のふたつの記事はこちら→
「漫画家の私が「憧れのカフェ経営」で味わった、甘くない現実」
「夢のカフェ経営で直面した“人”の壁。問題はお金だけじゃなかった!」

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