ひとたびこのポジションを確立すると、その後の展開はかなり有利になります。常に引き合いに出される存在となるのでブランド価値が毀損しません。

実は、この話は私たち自身のセルフブランディングにも大いに役立ちます。体系化や客観化がブランドの維持に有効ということであれば、それは私たちの「評判」についても同じことが言えるからです。

 

最近はSNSが普及したせいか、セルフブランディングが必須のスキルと見なされるようになっており、ネットを眺めると関連した情報をいくつも探し出すことができます。確かに、自身をブランド化できた方が、あらゆる人間関係において有利なのは間違いありませんが、こうした行為は下手をすると、単なるマウンティングとなってしまい、自己中心的で「イタい」結果になりがちです。

セルフブランディングを成功させるためには、独りよがりを避け、多くの人が認める客観的な基準を活用することがとても大事です。

もっとも分かりやすいのは、スポーツで国体出場経験がある、といった類のものですが、こうした客観化は、どのような分野にも応用することができます。海外経験について話す時にも、単に「海外を放浪した」という定性的な内容ではなく「20カ国に旅行経験がある」と定量的に示した方が、相手にとっては圧倒的にイメージしやすいでしょう。

他人に理解してもらう努力を積み重ねた人と、そうでない人との間には、10年、20年という年月が経過する中で、大きな差がつく可能性があります。後になってこの差を縮めるのは容易なことではありません。私たちは、客観性が高いフランス・ワインのような立場を目指した方が得策でしょう。

 
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