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夫婦の性交時間は10分以下!? データでみる40代、50代の性のリアル4つの事情

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多くの熟年世代が性愛を謳歌し、人生をより豊かにしている一方、40代、50代の中高年夫婦のセックスレスは、ここ10年余りで約2倍に増加しています。その原因は?セックスレスじゃ、ダメなの?
今回、田園調布学園大学名誉教授で日本性科学会・セクシュアリティ研究会代表の荒木乳根子先生に中高年夫婦の性のリアルな実態についてお話を伺いました。
日本性科学会セクシュアリティ研究会は、2000年は有配偶者、2003年は単身者、2012年には有配偶者及び単身者の40代~70代までを対象に性にまつわるアンケート調査を行っています。今回は2012年の有配偶者のデータを中心に見ていきましょう。

※2012年調査 関東在住40~79歳迄。有効回答1162人(有配偶者……男性404人・女性459人 合計863人。単身者……男性92人、女性207人 合計299人)

 


1.40代、50代の夫婦間セックスレスは、10年間で約2倍に増えている

 

まずセックスレスの定義をおさらいすると、「カップルの性交が月一回未満の場合」とあります。つまり、あくまでもカップル間の話で、個人の状態を指しているわけではありません。
有配偶者のセックスレスは、2000年と2012年のデータを比較すると、男女ともに増加しています。特に40代~50代では男性2.5倍、女性1.8倍。なぜ、こんなにまで変わってきたのでしょうか。

 

「要因はいろいろありますが、ひとつは50代前後で閉経を迎えた女性が、女性ホルモン低下による性欲減退や性交痛といった身体的な問題に加え、精神的にもしたくなくなっちゃったから。二つめは、夫婦間における性の位置づけと性規範の変化です。性生活が夫婦を結ぶ大切な絆と考えない人が増えています。三つめは、妻側のノーが性生活に反映するようになったこと。働く女性が増えて、家庭内で妻の力が強くなり『疲れちゃって』『性欲がない』と、妻の拒絶で夫のしたい思いは叶えられなくなっています。『妻は夫の求めを受け入れるべし』といった縛りは、もはや存在しません」

この調査は性にまつわる60問もの質問の回答を分析しています。その中で、配偶者とどのような関係を持ちたいかを尋ねたものがあります。配偶者との性交を望んでいて、実際に月1回以上の性交がある人は、2000年は男性78%、女性79%でしたが、2012年は男性44%、女性68%に。男性が性交を望んでも女性のノーで半数以上は満たされない現状が浮かび上がっています。 単身者の性交頻度は、2003年と2012年でも大差なく、交際相手のいる人に限ると月1回以上セックスしているカップルが6割以上でした。

 



2.婚外交渉は増えている


夫婦間セックスレスと半比例して、パートナー以外とのセックスは増えています。2000年と2012年を比べると男性は11%から32%、女性は5%から14%と、男女とも約3倍に増加しています。

 
 

「配偶者以外の親しい関係を持っている人は、男女ともに増えていて、特に男性は顕著です。親密な関係とは、愛撫や性交を伴う関係だけではなく、精神的な愛情関係も含まれます。そして、男女共に家庭に迷惑をかけなければ配偶者以外との親密な関係も問題ないという回答が増えていて、これも性規範がゆるんできている証拠です」

セックスレスとの関連を見ると、妻と1年間セックスレスだった夫は、月1回以上妻とのセックスがある夫の約1.7倍、妻以外の異性との付き合いがありました。女性の場合は、夫との性交の有無との関連性はありませんでした。結婚=セックスは遠い過去。子どもをつくり、育てるときには、パートナーと協力するけれど、それをずっと先の先まで続けていくのは困難になっていると、データは示唆しています。

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