最終グループ以外も十分楽しめるのがフィギュアスケートの面白さ! マニアックな視点で注目選手をピックアップ

ものすごいスピードで少年から大人になった感のあるケヴィン・エイモズ選手。 カラーのまったく違うSPとFS。どちらも個性的な振りが随所にあって記憶に残る。

トップに絡むにはもうひと頑張りという第1グループの選手からでも存分に楽しめるのが、フィギュアスケートならではの面白さ。なにせ、この競技が目指すのは、スポーツと芸術の融合。台乗り争いはしていなくても、独創的なスピンや独特の世界観などで魅せてくれる個性的な選手がいるんです。

昨年同様、フジテレビが第1グループからライブ配信してくれるようなので、個人的に気になる選手を。

 
【世界選手権2019でぜひチェックしてほしい選手たち】

① ウラジミール・リトヴィンツェフ選手
アゼルバイジャン(といっても、生まれも練習拠点もモスクワらしい)出身の18歳。
腕の使い方や動きがとにかく優雅で美しく、まるでバレエのプリンシパル。FSでは、「くるみ割り人形」の王子を演じているのだが、これがまさにいまの彼にしかできないプログラム!


② ケヴィン・エイモズ選手
リトヴィンツェフ選手が王子系なら、こちらは雰囲気系。今季のフランスチャンピオン。クラシックを選曲する選手が多い中、彼は滅多に使わず、10代にしてレナード・コーエンで滑るという渋さ。21歳にしてアイスダンスのギヨーム・シゼロン選手を彷彿とさせるヒゲを蓄え、FSではオリジナリティのある振付で、氷上に独自の世界観を作り出し、観客を引き込む。


③ ドノヴァン・カリージョ選手
陽気なラテン音楽にのせて個性を炸裂させる、メキシコの19歳。ラテンダンスの振りを織り交ぜながら、笑顔で滑る彼は、まさに氷上のダンサー。こういう選手がいないと、フィギュアスケートの裾野は広がらない。

④ マッテオ・リッツォ選手
イタリアの20歳。ハビエル選手引退後の欧州を引っ張るのは彼か、と思われていた若きエースだが、なんとダニエル・グラスルという16歳の脅威の4回転ジャンパーにイタリアチャンピオンの座を奪われてしまう。
お尻に火がついたか、欧州選手権では、FSのプログラムを急きょ変えて臨み、4回転を鮮やかに着氷して台乗りした。そのプロが、「ボヘミアン・ラプソディ」で始まり、「ドント・ストップ・ミ―・ナウ」で終わるクイーンメドレー
たまアリの観客の中には、エアギターが頭をよぎる観客も少なくなさそうだが、いや、フレディ・マーキュリーのボーカルが響き渡るこのプロも、飛躍のきっかけとなる記念すべきものになるかも。今大会にダニエル選手は出場しないが、イタリア男子シングルはこれから面白くなりそうな気配なので、知っておいて損はない。


⑤ルナ・ヘンドリクス選手(女子)
ベルギーの19歳。ソチ、平昌五輪に出場したヨリック・ヘンドリクス選手の妹で、自身もすでに平昌五輪に出場。手をあげて跳ぶタノジャンプが多いのがちょっと気になるが、パワフルでいてやわらかく、とにかくスピンが美しい選手。
グングン強くなっていて、昨年の大会では入賞まであと一歩の9位。欧州選手権はケガで欠場したものの、この大会には出るようなので、練習さえできていればいいところまでいくかも。

大会日程:女子シングルは、3月20日の大会初日から、男子シングルは翌21日から。
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齋藤優子(さいとうゆうこ)
ライター。女性誌を中心にフィギュアスケート記事も少々執筆。アルベールビル五輪でウクライナのヴィクトール・ぺトレンコ選手の演技を観て、ハマる。独自の世界観を持つ選手に惹かれがち。

構成/藤本容子(編集部)
 
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