マウンティングの原理をつまびらかにし、世の女子を虜にしたベストセラー『女子の人間関係』から5年。
精力的に著作活動を続ける精神科医・水島広子さんが、改めて「女性の生きづらさ」を解消するすべを語ります。

 


なぜ女性は「商品」になってしまったのか


私は2014年に『女子の人間関係』という本を刊行し、その中で「女」(いわゆる「女の嫌なところ」)を定義づけました。
それは、主に、「男性に選ばれることによって社会的地位を得る」という歴史的立場と、「女のくせに」「女なのだから」というプレッシャーを受けるということを中心に作られる性質です。
つまり、「嫌な女」というのは、よりよい男性から選ばれることを中心的課題として生きてきて、かつ女性だからというプレッシャーを受けてきた、受動的で、傷ついてきた存在なのだということをお話ししたのです。
(どのような性質かは、後半にリストを挙げておきます)

このような「女」の特徴が面倒くさいために、女性とつきあうよりも男性とつきあう方がさっぱりしていて気楽、と感じる女性は少なくないものです。
女友達よりも男友達の数の方が多いという人もいますね。
これらは、いわゆる「女」の嫌な部分、と言うことができるのですが、もちろんすべての女性にこれらの特徴が強く見られるわけではありません。
また、ある特徴は目立っても他はそうでもない、という人もいるでしょう。これらの特徴がほとんど見られない女性ももちろんいます。
また、人生の時期によってその濃淡も変わってくるものです(絶対に手放したくない、と思う男性に出会うと急に嫉妬深くなったり)。
ここに挙げたような、いわゆる「女」の嫌な部分を、私はカッコつきの「女」と呼んでいます。

これは女性そのものを意味するのではなく、いろいろな女性に見られる、一連の困った特徴のことを呼ぶと理解してください。
そういう意味では、男性にも「女」度が高い人はいます。
いわゆる「女」についてはもちろん多くの人が認識しているのですが、それを見る目の多くは、嫌悪や侮蔑(ぶべつ)です。
まさに「困った女」「醜い女」という感じでしょうか。
しかし、『女子の人間関係』では、「女」とは、「よりよい男性に選ばれなければ価値がない」「女なのだから、とか、女のくせに、と言われて傷つけられてきた」という厳しい状況の中で作られてきた、女性の「心の傷」ととらえています。
ですから、必要なのは、批判でも嫌悪でもなく癒やし、と明確に位置づけているのです。

 
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