では、こうした時代において、お金に困らずに生活するためには、どのような工夫が必要でしょうか。


非常にシンプルな話ですが、40歳以降は昇給しないのだとすると、生涯にわたって40歳の給料で生活できるよう支出をコントロールすることが大事です。昭和の時代は、年次が上がると給料が増えるのが当たり前でしたから、知らず知らずのうちに家計がメタボになっていました。
習慣というのは恐ろしいもので、家計をスリムにしようとしても、「給料が上がる」という漠然とした期待があると、なかなか思い切った手が打てないものです。

しかし今の若い人は、今後、給料が大きく上昇するとは考えていませんから、中には驚くほどお金を使わない生活を実践している人もいます。若くて独身だからできるという側面もありますが、彼等の行動パターンや消費哲学には参考になる部分もたくさんあります。会社の若手にどのような節約をしているのか聞いてみるのも一つの方法でしょう。

 

もう一つは、一生涯にわたって仕事を続けられるようなキャリア・プランを真剣に考えることです。

同じ会社に在籍するにしても、役職定年や再雇用ということになると、仕事内容が変わる可能性が高く、感覚的には限りなく転職に近い状況となります。これからの時代は、仕事に関する知識や知恵をどのような形で組織に提供できるのか、真剣に考えていく必要があります。経験から得たノウハウをうまく組織に提供できれば、年齢が高くなっても、ずっと重宝され続けるでしょう。

これまでは、単に数字を上げることや、ライバルに勝つことを強く意識していたかもしれませんが、ノウハウを蓄積したり体系化するという観点で今の仕事に取り組んだ方が、生涯労働という点では効果が高くなります。うまくいけば社外でも市場価値が生じ、場合によっては転職という形で、その力を社会に提供できる可能性も見えてきます。

 
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