これはタクシーに限らず、あらゆる支出に共通することですが、自分が何に対していくらまでなら払えるのかという基準を持たなければ、賢い消費者にはなれません。

先日、朝の時間帯に、あるオフィスビルからタクシーを拾おうとすると、1台の実車がやってきました。乗客の女性は支払いを済ませると鬼の形相でビルのエレベーターホールに駆け込んでいきました。時間はちょうど9時でしたから、おそらく寝坊してしまい、電車では始業時間に間に合わなかったのでしょう。

 

タクシーを単なる移動手段と見なす人にとっては、遅刻しそうになってタクシーを使うというのは最悪のパターンです。不必要な支出が増えるだけですから、できるだけ計画的に行動するよう自分を律しないと、なかなかお金は貯まりません。
しかしながら、遅刻することで失う自分の信用というものもありますから、いついかなる時でもタクシーは使わないというのも考え物です。数千円という出費で遅刻という信用失墜を回避できるのであれば、それはリスク管理費用として適切という見方もできます。

いずれにせよ、何に対してお金をかけるべきなのかが自分で分かっていれば、突発的な事態が発生した時でも、お金をかけるべきなのかどうか迷わずに済むでしょう。

お金をかけてもクルマを使うことには心理的な効果もあるようです。

引き合いに出す事例としてはあまり適切ではないのですが、今はほぼ絶滅しつつある「ヤクザ」と呼ばれる人たちが、好んでメルセデスベンツのような高級車に乗っていることには理由がありました。

敵対する相手との交渉に出向く時には、彼等は無理をしてでもベンツなどの高級車を手配して現地に向かったといわれています。その理由は、自分の事務所を出る時からすでに心理戦が始まっており、高級車で堂々と乗り付けることによって、余裕のある振る舞いができるようにするためです。

ヤクザの生き方をマネしてはいけませんが、この手法は私たちにも応用できます。ここ一番という勝負の時には、タクシーを使ってスムーズに目的地に向かった方が、いろいろなことが上手く運ぶのではないでしょうか。夏の暑い日や、雨の降っている日など、天気の悪い時にはなおさらでしょう。

 
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