実際、怒りっぽい人ほど心臓発作を起こしやすいというデータもあります。

怒っているときは消化管の働きも悪くなるので腸内環境も乱れてしまいます。
怒ったとしても、すぐ鎮まればいいのでは? と思うかもしれませんが、怒りなど何らかの原因で急激に自律神経が乱れると、そのあと3時間は乱れたままになることもわかっています。
ほんのわずかな時間、怒りを感じただけでも、一度乱れた自律神経は、なかなか元に戻らないのです。
つまり一瞬の怒りが、あなたの体を蝕み、その怒りの積み重ねによって、命を縮めてしまう可能性があるということです。
  
病に嫌われるには、なるべく怒らないほうがいいというのが理想ですが、そうはいっても日々の生活の中で怒りをなくすことはできません。
怒りは人間の自然な感情ですし、怒りがきっかけで真実を見極めることができることもあり、やる気やモチベーションにつながることもあります。
大事なのは、小さな怒りをいかに大きな怒りに結び付けないか、小さな怒りのうちにいかに解消するかです。
そこでおすすめしたいのが、簡単にできる怒りのコントロール術です。



自宅や職場ですぐできる!怒りのコントロール法2つ

 

ひとつが、怒りを感じたときに、ゆっくりと水を1杯飲むことです。一気に飲むのではなく、体中に水がじわじわとしみわたっていくのを想像しながら、ゆっくりと飲みましょう。水を飲むと胃腸が刺激され、副交感神経の働きがよくなり、過剰になっている交感神経を抑えることができます。
  
明るくてゆったりしたテンポのヒーリングミュージックや、波の音や風の音などが入ったネイチャーサウンドなどを聴くのもおすすめです。
実際に、私が行った実験で、ヒーリングミュージックを聴く前後の自律神経を測ったところ、聴く前は交感神経が6割を占めていたのに、聴いている間にぐんぐん副交感神経が優位になって7割ほどになり、聴き終わった後もしばらくその状態が続きました。

ほかに、簡単な方法では、手首をトントンと軽く叩くというのも効果的です。手首の外側、つまり手の甲側のほうを、もう一方の手の薬指と中指でトントンと軽くリズミカルに叩くのです。こうすると副交感神経が優位になって、怒りや苛立ちが収まります。
その他にも本書の中で自律神経をコントロールする「1:2(ワン・ツー)呼吸法」のやり方や小林教授が続けられている習慣のひとつ「三行日記」についても詳しく紹介しています。
これらの方法で、怒りの芽は早めに摘み、できるだけ穏やかな気持ちで過ごすことを心がけてください。


小林弘幸(こばやし ひろゆき)
順天堂大学医学部教授。日本体育協会公認スポーツドクター。自律神経研究の第一人者として、プロスポーツ選手、アーティスト、文化人のコンディショニング、パフォーマンス向上指導に携わる。また日本で初めて便秘外来を開設した「腸のスペシャリスト」でもあり、現在、便秘外来の初診は9年待ち。著書に『なぜ、「これ」は健康にいいのか?』(サンマーク出版)、『死ぬまで歩くにはスクワットだけすればいい』(幻冬舎)、『聞くだけで自律神経が整うCDブック』(アスコム)など、多数の大ベストセラー書籍を上梓。

『病に好かれる人 病に嫌われる人』
著者 小林 弘幸 1000円(税別) 講談社


病気になる要因は「遺伝が25% 生活環境75%」。「病気になる人」と「病になりにくい人」には、人生の様々な場面において決定的な行動の違いがいくつかあります。医師である著者は「あの日、あの時、ああしておけば!」と、最期に後悔してきた患者をこれまで数多くみてきました。健康寿命の長い人たちがとっている行動とは? 一生単位、一年単位、一日単位でのさまざまな健康行動について語ります。自分のかけがえのない健康を「運」任せにしてはいけません。大切なのは「行動」です。その行動があなたの「健康寿命」を伸ばすのです。

『病に好かれる人 病に嫌われる人』のほか、料理、美容・健康、ファッション情報など講談社くらしの本からの記事はこちらからも読むことができます。
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イラスト/プクプク
(この記事は2019年5月23日時点の情報です)

出典元:https://kurashinohon.jp/1035.html

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