大草直子編集長(現コンセプトディレクター)の下、ミモレがスタートしたのが2015年の1月20日。昨年、大森葉子編集長へと交代し、この7月、川良咲子3代目編集長が誕生します。これまでは裏方だった編集者が前面に出て、最近のおしゃれから、いま感じていること、悩んでいることなどをありのままに綴ってきたミモレだからこそ、今回の編集長交代についても、率直な気持ち、そしてこれからのミモレについて語り合うことにしました。

編集部雑感:なんでしょう…この長年連れ添った家族感(笑)。

大森 咲子がミモレに異動してきてからだから3年? 4年? 雑誌の編集部では考えられないくらいに、時間をともにしてきたよね。

川良 そうですね。私がミモレに来る前も同じ部署だったけど、そのときはファッション班と美容班と分かれていましたから。ミモレだと班も何もなくて、一緒に何でもやるって感じですからね。それにしても本当にいろんなことしてきましたよね。時期によっては毎週イベント、なんてときもありましたし、ミモレ大学にサテライトオフィス……。

大森 広島でのサテライトオフィスのとき、咲子が本当に楽しそうにしてたのが印象に残ってる。咲子はお母さんで、家を空けることがそうはできないから「ひとり旅が最近の夢です」っていつも言ってて。思い立ったら、どこへでもすぐに出かけてしまう自由な私からすると、そんな咲子には尊敬しかないんだよね。ファッションのイベントのときも誰よりも楽しそうにお買い物しながら「なかなか買い物する時間がなくて」と。母というものは自分のために買い物する時間もないんだなぁ、と妙に感じ入ったり。日常のあり方が対称的だからこそ、気づかされることも多かった。

川良 ははは。そうですよね。私、広島の尾道でそんなに楽しそうにしました? 大森さんや大草さんを見ていて、母であるからといって、自分を置き去りにするのは違うなと思うことは多かったですね。大森さんは、基本的にお母さんに優しい(笑)。私が、一日母を休んだりできたのも、大森さんが後押ししてくれたおかげでした。行きなよ、休みなよって。あと確かに私たち、対称的なのかもしれないですね。大森さんは多動力の人で、どんどん新しいことを考えていくのを見ていて、私ってぼーっとしてるなと思っていました(笑)。

大森 咲子は、ぼーっとしているんじゃなくて胆力の人だと思ってる。私や大草さんのような“圧”がまったくなくて(笑)、編集者には希有なタイプだなって。以前、マツコ・デラックスさんがどこかで「なんで女性編集者はあんなにえらそうなんだ」というようなことをおっしゃられていて、それには「ですよね」と私自身も思うところがあって。けれど、咲子に関しては「こんなすごいことをやり遂げたんだから、もっと偉そうにしていればいいのに」と思うことがたくさんあったよ。咲子のきめ細かさ、繊細さ。一方で、物事を完遂させるブルドーザーのような馬力には感心しとりました。飲んでるときもハイボールって決めたら、ずっとハイボールを飲み続けてたよね。それも半分しか空いてないのに次を頼んで、そしてしっかり酔っている。はじめは意外だったその姿が、最終的には納得がいくようになりました(笑)。

川良 お酒は好きなんですよ。でも大草さんやバタやんほど強くないから、まあまあ酔ってニコニコしてる(笑)。意外といえば、大森さんがガーリーなものが好きなのが、私は意外でした。装いはモードなのに、さりげなくサクランボのピアスしてたり。ミモレ編集部のなかで、大森さんがダントツに乙女(笑)。いつも大森さんの中の「少女」が私をまっすぐ見つめてくるような感覚がありました(笑)。そう、対称的な私たちですが、実は美容師さんが一緒なんですよね。

大森 だから髪を切るときだけは絶対に一緒の時間になることがないっていう(笑)。その美容師さんと話していても、咲子が美容室に行く時間をいかに捻出しているかが伝わってきていたので、働く母というものについて考えさせられていましたよ。

編集部プチ情報:大森はかつて手タレのバイトをしていました。ネイリストさんの試験にもよく駆り出されていたそう。

川良 お互いのこととか一緒にしてきた仕事のことを話し始めたら、いろいろありすぎて時間切れになってしまいそうなので(笑)、編集長としての大森さんが作ってきたミモレのことを聞かせてください。