企業戦士として働いてきた父親が、退職後、生きる目的を失ってお酒に溺れるようになってしまった……。そんな状況を何とか改善したいと思っている子供も、少なくないのではないでしょうか。7年前に夫である流通ジャーナリストの金子哲雄氏を亡くし、現在、終活ジャーナリストとして活動されている金子稚子さんは、家族内だけで何とかしようとせず、公的な機関に相談することが大切だと説いています。

★マグカップ★さんからの質問

Q. 退職した元企業戦士の父がアルコール依存症に。子としてできることは?


離れて暮らす父は70代後半、母は3歳下です。父は企業戦士で、母はずっと専業主婦でした。転勤族でしたが、60歳で退職し、故郷に家を建てました。穏やかに老後を過ごすと思っていましたが、父はお酒を飲んでばかりです。最近、飲酒運転で免停になり、車を手放したことで、よりお酒が止められないようです。多分、病気(アルコール依存症)かなと思ってます。

精神科にも行ったようですが、「打ち込めるものを見つけてください」と言われるだけ。父自身も、何とかしたいと思っているけどできない悪循環でもがいています。母も強い性格で、家事ができず趣味もない父に厳しいことを言います。飲むと母に言葉で当たったり(暴力はありません)、足元もおぼつかなくなったり。母も疲れているようで、何とか助けてあげたいと思っています。子どもはみんな離れて暮らしているので、気軽に逢いに行けません。こんな父、支える母への接し方など、ヒントをいただければと思います。(46歳)


終活ジャーナリスト 金子稚子さんの回答

A. 行政の福祉関係の窓口に相談しましょう。私たちが声を届けることで行政も育っていきます。

アルコール依存症であるならば、きちんと医療機関にかかる必要があると思います。以前に行かれた精神科では、軽い感じで対応されたようですので、違う病院を探されてみてもいいかもしれません。アルコール依存症は、本人の気合いや努力でどうにかなるものではありません。専門家の支援が必要です。そのためには、まずは正しい知識を得ることも必要かと思います。各都道府県には必ず「精神保健福祉センター」というところがあります。是非一度、そちらに足を運んでお父さんのことを相談なさってみてください。役所が遠方にあり、行くのが大変なようでしたら、近くの保健所に相談されるのもいいでしょう。高齢者の福祉を担当する窓口が行政にはありますので、まずはそういった公的機関を利用されるのが良いと思います。

 
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