毎年30万円貯めることからはじめよう


貯蓄をしていない人や金融資産の非保有世帯が2割や3割と高い一方で、貯蓄額の平均値は高く、中央値は低いというデータ。このことから、貯蓄の度合いには、かなりの差が広がっていることが予想されます。

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実際に多くの方とお金の話をしていても、貯蓄の度合いの差は激しく、貯蓄できている人は、十二分なほど貯蓄が進んでいて、できていない人はゼロでも驚くことなくそれが当たり前の日常になっていることを目の当たりにします。

そうした中では、中央値を目標とすることも厳しいと感じる人もいるかもしれません。

大きな目標を掲げると、挫折してしまうのは人の常。ここはまず、「自分には無理」とあきらめてしまう前に、ひとまず毎年30万円をきっちりためることからスタートしてはいかがでしょうか? これが2つ目の目安です。

 

一つのモデルケースとして、22歳で就職し、65歳まで働き続けると仮定します。毎年30万円の貯蓄を43年間続けたら、約1300万円の貯蓄を準備することができます。

会社勤めをしていた人が受け取る老齢厚生年金の平均受給額は、月額約15万円(2017年度)です。

その15万円に、貯蓄から月4万円を取り崩してプラスすれば、19万円になります。その生活費で暮らせるなら、約1300万円の貯蓄は約27年(1300万円÷月4万円)もつため、92歳までやり繰りできる計算になります。


月に2万5000円貯められれば、老後は安心かも



人によって必要な生活費は異なりますから、月19万円では安心できないという方もいらっしゃるかもしれません。そこは、例えば65歳以降も働くことや、まずは毎年30万円貯蓄を目指し、それが習慣化されたら貯蓄額を上げていくといったことでカバーしていくことになります。

いずれにせよ、まずは一歩踏み出すことで、何もしなかった状態よりも、確実に安心に近づくことができます。

変動要素はあるものの、「毎年30万円程度の貯蓄ができれば、90歳くらいまで安心して暮らせるかも」というのは、一つの足下の目標にしやすいのではないでしょうか。

年30万円と聞くと大きな金額に感じますが、月換算だと2万5000円になります。平日が25日と仮定すると1日1000円です。千里の道も一歩から、ではないですが、目標とする金額を年、月、日、と刻んでみると、意外と取り組めそうだと感じるかもしれません。